マルチベンダ環境のハブを目指すBMC、可用性の重要性を強調

2001/10/25

 BMCソフトウェアは10月24日、都内でカンファレンス「BMC Software FORUM 2001」を開催した。基調講演では、同社 代表取締役社長 澤辺正紀氏、米BMCソフトウェア Director of Corporate Technology Strategy ピーター・アームストロング(Peter Armstrong)氏が登壇、“システムのスイス(中立国)”と自らを形容し、可用性にフォーカスした新戦略について語った。

米BMCのピーター・アームストロング氏

 米BMCソフトウェアは1980年創業のソフトウェアベンダで、日本法人は1988年に設立された。現在、日本国内に400以上の顧客を持つ。今年度上期は前年同期比10%増と、世界的な不況の中で健全な財務状態を維持している。今年度1700億円の売上高を見込んでいる。

 同社は1年前より“Assuring Business Availability”として、戦略を製品中心からカスタマ中心のソリューション事業へとシフトした。「eビジネスの課題は可用性」と澤辺社長、「証券業界のアプリケーションが1時間ダウンした場合、損失額は7.7億円といわれている。24時間365日の可用性とパフォーマンスが企業の最優先課題で、われわれのフォーカスもここにある」と、戦略移行の背景を説明する。

 現在の企業システムを見ると、プラットフォームは混在し、多くのアプリケーション導入により、複雑性が増している。スキルを持った人材は慢性的に不足し、トップからは経費削減という課題を押しつけられている。その一方で、Webへのシフトにより、システムダウンが与える影響は、金額面でも、企業イメージ面でも計り知れない。「いま求められていることは、価値への還元の早期化、システム中心からアプリケーション中心への移行、シンプルなソリューションだ」(澤辺社長)。

澤辺正紀社長

 そこでBMCでは、インフラ管理、サービス管理、最終的にビジネスの最適化を実現するという3ステップのアプローチをとる。インフラとサービスの管理に関しては、セキュリティ、ディザスタ(災害)・リカバリ、ストレージ管理、SLA(Service Level Agreement)の4つの製品分野でカバーする。澤辺社長は事例として、集中統合管理ソフトウェア「COMMAND/POST」を導入したセコム情報システムが2億5000万円のコスト削減に成功したことなどを紹介した。また、SLAでは顧客エクスペリエンスも管理するQoE(Quality of Experience)という概念を組み合わせ、ソリューションを提供するという。

 最終段階であるビジネスの最適化では、ビジネス・インテリジェンス機能を用い、技術をビジネスの指標と調和させることにより、効率よくビジネスを動かす。この分野は、同社が技術のみならずビジネスにもフォーカスしているという差別化になる分野。「これまでのシステムは拡大する(spred)一方だった。プラットフォームにしろ、データベースにしろ、アプリケーションにしろ……。これからは“統合(consolidation)”。製品の数を減らし複雑性を除去する。いかに管理の効率を上げられるかが問われている」(アームストロング氏)。具体的には、業務プロセス、リアルタイム分析、計測・レポート作成などにより、価値の提供を実現するという。

 最後にアームストロング氏は同社の優位性として、売り上げの25%を充当しているというR&Dへの積極投資、中立性などを挙げた。「BMCはベンダ・ニュートラル。われわれの仕事は、すでにあるシステムでいかにしてパフォーマンスを上げるか、可用性を高めるかを分析し、実現することだ」。同氏の友人が、BMCを中立国スイスに例えたことを引用し、「パートナーとともにマルチベンダ環境のハブを目指す」とした。

(編集局 末岡洋子)

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