eラーニング導入の本格化はまだ先と、ガートナー

2001/10/26

 ガートナー ジャパンは、日本のITユーザー企業を対象とした、eラーニングに関する意識調査を実施した。

 同社の今回の調査は、ITユーザー企業の情報システム部門を対象に、年間売上高30億円以上か従業員50人以上の企業から業種の偏向がないように抽出して行われたもの(調査期間は2001年8月6日〜9月4日まで)。eラーニングの定義を同社では、WBT(Web Based Training)のようなWebブラウザによる学習環境を提供するサービスと定義し、衛星配信による遠隔学習環境を含んでいないという。

 調査によれば、すでにeラーニングを導入済みの企業は3.4%で、1年以内に導入する予定のある企業は2.4%。3年以内に導入可能性のある企業は3.6%。この数字すべてを合わせても9.4%にとどまる。ただし、興味があると答えた企業は41.5%あった。なお、eラーニングの認知度は69.8%。

 一般の市場調査などの数字から判断すると、導入予定などの企業がもう少し多いのではないかとの疑問が浮かぶ。これに対して同社は、一般の調査はサービスを提供する側の調査結果であり、今回の調査はサービスを利用する側の調査結果。それによるギャップ(かい離)が生じているのではないかという。

 次に、eラーニングの導入関心度が低い理由だが、同調査のeラーニングを導入しない理由を見ると一目瞭然だ(導入していない企業のみの回答)。

導入効果がわかりにくい:52.5%
研修自体が少なく、必要性を感じない:34.5%
対面式でないことへの不信感:9.5%
一度導入したが、効果が見られなかった:1.3%
その他の理由:7.9%

 このことについてガートナー ジャパン ITデマンド調査室アナリスト 中田真由美氏は、「問題はeラーニングによる導入効果が分かりにくく、事例が少ないことで、これがもう少し出てくれば、状況が変わってくるのではないか」と語る。同社では、eラーニングを利用する企業からは、2001年がeラーニング元年であり、実際に普及し出すのには、これから1〜2年はかかると見ている。

[関連リンク]
ガートナー ジャパンの発表資料

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