「3年で売上高を2倍にする」とサイベース新社長
2001/11/1
デーヴィット・ワレン氏 「ターンアラウンドとは変革のこと」 |
サイベースは10月31日、都内で会見を開き、新戦略「ターンアラウンド」を発表した。
新しい戦略の説明を行ったのは、10月16日に社長に就任したばかりのデーヴィット・ワレン(David Warren)氏。同氏はこれまで、営業・マーケティング本部長、取締役副社長としてサイベースにかかわってきた人物で、在日歴も長い。
同社がこの日発表した新戦略を一言で言うと、ターゲット市場を明確にし、そこでのシェアトップを勝ち取ること。ターゲットは、業種として金融業、技術分野としてモバイル・ワイヤレスおよび組み込みとなる。これに加え、EAIなどeビジネスのインフラ分野にもフォーカスを置く。実践にあたってはパートナー戦略をとる。
具体的には、「米国での成功の手法やノウハウ、経験を日本に取り込む」とワレン氏。現在、圧倒的シェア(68%、米ガートナーデータクエスト調べ)で世界1位を誇るモバイル・データベースの成功は積極的・戦略的投資にあったとし、日本でもこれに習い、差別化できる製品を提供することが戦略の実践となると見ている。
そのうえで、ワレン氏は以下のように目標を明言した。「3年以内に売り上げを2倍にし、年商100億円企業にする。日本の特定市場でナンバー1となる」。さらに、「この目標を達成するため、会社として、私個人として全力を尽くす。達成できたかどうかで私を評価してほしい」と力を込める。
サイベースの日本法人は1991年に設立された。現在、eビジネス、モバイル、エンタープライズ・ソリューションズ、eビジネス・インフラストラクチャ、ビジネス・インテリジェンスの5事業を持ち、米サイベースの子会社、アイエニウェア・ソリューションズ、Financail Fusionの日本での経営を代表している。
米サイベースが先日発表した今年度第3四半期の業績は、好結果となった。売上高は2000万ドル、1株当たりの利益は20セントで、アナリストの予想を上回る結果となった。ワレン氏は、「経済全体は停滞しているかもしれないが、サイベースの財務状況は強い」と、1990年代後半の苦しい時期を完全に乗り切ったことをアピールした。
ワレン氏は終始、同社の業績は悪くないばかりか利益体質に変換していることと、“データベース・ベンダ”という市場のイメージを変えたいことを強調する。「強いブランドイメージを持つことは、力を与えてくれるだけでなく負担にもなる」(ワレン氏)。同社の現在の収益は、半分はデータベース、30%程度はモバイルからという。「データベースで築いた既存の顧客が大切なのは言うまでもないこと。だが、サイベースはデータベースの枠を越えて新市場で挑戦をしている。そこを見てほしい」(ワレン氏)。
サイベースは1990年代、汎用データベース市場をオラクル、インフォミックスと争った。ナンバー1の座に輝いたオラクルはその後、ERPやCRMなどさらなる市場へ進出を図る一方で、IBMやマイクロソフトといった新しいライバルに手を焼いている様子だ。そしてインフォミックスは、そのIBMに買収された……。
サイベースが、データベースでオラクルに破れたという負のイメージを脱却できるのか、それともデータベース出身を強みに好転させ新分野で開花できるのか、ワレン氏の腕にかかっている。
(編集局 末岡洋子)
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