「本題の前に、セキュリティの話を」とMS社長
2001/11/7
マイクロソフトのプライベートイベント「The Microsoft Conference 2001/fall」が11月6日、都内のホテルで開催された。企業のシステム導入担当者などを含む多くの聴衆の前で、基調講演に立った同社代表取締役社長の阿多親市氏が最初に切り出した話題は、同社製品のセキュリティ対策についてだ。
セキュリティ対策を強調する同社 代表取締役社長 阿多氏 |
阿多氏は、「Nimdaのようなウィルスに対抗するために、マイクロソフトは新しいセキュリティ対策としてStrategic Technology Protection Program(STPP)を打ち出した」と、同社のセキュリティに対する最新の対応を披露(「MS、ビジネス環境向けセキュリティ対策プログラム」参照)。STPPでは、同社のセキュリティ情報を一括して取得できるとともに、素早い情報提供を行っていくという。さらに、今後セキュリティ対策に数十億円規模の投資を行い、いま以上の強化支援策をとるとともに、米本社のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏ともこの件について長時間の議論を行ったことを明かした。
「セキュリティが十分でなければ、インターネットを社会のインフラにすることはできない」(阿多氏)。
RedCodeやNimdaといったウィルス/ワームの被害がまだ記憶に新しい現在、同社が.NET戦略を成功させ、同社製品が企業や社会のインフラとして採用されるには、こうしたセキュリティに対する不安の払拭は不可欠な要素だ。阿多氏が冒頭にセキュリティの話題を切り出したのは、そうした危機感の表れだといえるだろう。
セキュリティに続く基調講演の本題は、リリースが始まったWindows XPと、同社の.NET Enterprise Serversのソリューションの2つをアピールすることだった。
阿多氏は、Windows XPの持つ安定性、モバイル対応、Office XPの使いやすいユーザーインターフェイスなどにより、個人や組織の生産性が向上し、結果として十分な投資効果が見られると強調した。協和発酵工業では、5000台のPCをWindows 95からWindows XPへ移行する計画のために投資効果分析を行い、現在120台のテスト導入に至っているという。
またキリンビールでは、すでに導入されているノーツ/ドミノを維持しながら、同社のSharePoint Portlal Serverを導入し、ドミノに蓄積されたデータベースの内容にもアクセスできる社内ポータル画面を実現。ナレッジマネジメントに活用しているという。さらに、BizTalk Serverを利用して遠隔地の船舶エンジンを管理する事例なども紹介された。
今回のイベントは企業に対する導入促進が狙いであるため、投資効果、コスト削減や効率改善、事例などが話題の中心だ。しかし、まずはセキュリティの話題に触れなければならないところに、同社の現在の悩みがうかがえるようだった。
(編集局 新野淳一)
[関連リンク]
The
Microsoft Conference 2001/fall
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