ソフトの開発プロセス評価がビジネスに

2001/11/20

 NTTソフトウェアは11月16日、同社のSPA(ソフトウェアプロセスアセスメント)事業に関して、PPA(Process Professional Assessment)によるコンサルティングサービスを強化・拡充していくことを発表した。

 現在、ソフトウェアの開発プロセスの評価、改善の手法としては、CMM(Capability Maturity Model)/CMMI(Capability Maturity Model Integration)とPPAがある。CMM/CMMIは米国カーネギーメロン大学で開発され、米国防総省などが採用しているソフトウェア調達およびプロセス改善モデルとアセスメント手法。日本でも経済産業省が電子政府の構築にあたり、“日本版CMM”などによるプロセス評価を義務化する方針を示して一躍有名になった。それに対してPPAは、EUを中心に導入が進んでいるソフトウェア調達およびプロセス改善モデルとアセスメント手法のこと。

 PPAは、ISO/IEC TR 15504に準拠して作成された規格。ISO/IEC TR 15504は2003年度に国際規格として制定される予定となっている。現在EUのほか、オーストラリアでもこの規格を採用している。PPAはソフトウェア開発の成熟度をレベル0〜5の6段階で表し、組織のプロセス管理能力を4段階で評価する。CMMに比べて柔軟性が高く、企業が採用しやすい面がある。それは、企業が重要だと判断した部分のプロセスだけを評価、改善することができる点だ。これは、ハードウェアに組み込むソフトウェアだけを評価したい場合にも適用できるという。

 PPAによる評価には、リードアセッサ(実際にソフトウェアプロセスを評価できる資格)とアセッサ(リードアセッサの下、ソフトウェアプロセスを評価できる資格)が必要となる。

 NTTソフトでは、同社の社員が日本初のPPAのリードアセッサを取得、またほかに2名がアセッサを取得したことから、PPAによるコンサルティングサービスを強化できる環境が整った判断した。

 NTTソフトが提供するSPAは、同社独自のNSPA、CMM、それにPPA(ISO/IEC TR 15504)がある。同社のカスタマー・ソリューション・コンサルティングセンター センター所長の田中僚史氏は、「日本は国際標準を導入する傾向が強い。ISO/IEC TR 15504が正式に標準として採用されれば、CMM以上に15504によるソフトウェアの調達、評価などで採用される可能性があり、いち早くその規格に準拠しているPPAによるビジネスを推し進める」と語った。

 また、米国やインドなどを中心に採用している企業の多いCMM/CMMIについても今後2年ほどでリードアセッサとアセッサを10名程度育成していくという。

 田中氏は、「PPAによる案件を年間20〜30件ほど受注したい。ほかの(2つのモデル)も合わせソフトウェアプロセス改善だけで、最低3億円程度の売り上げを確保したい」と述べた。なお同社は、最終的にはソフトウェアの開発プロセスの評価方法、ノウハウなどを生かし、将来はBPRをはじめとするビジネスプロセスの評価や改善などのコンサルティングビジネスにも進出する意向を示した。

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