次世代トランジスタのキーワードは、“テラヘルツ”とインテル

2001/11/29

 インテルは11月27日、トランジスタの消費電力や発熱、リーク電流などの問題を解決し、テラヘルツの動作速度を実現するトランジスタ構造「テラヘルツ・トランジスタ」の開発に成功したことを発表した。今後10年間にわたる有効性を実証したという。

テラヘルツ・トランジスタ断面

 同社は新型トランジスタ開発において、将来10億個のトランジスタを集積したマイクロプロセッサの実現に向けて、トランジスタの集積度を2年ごとに倍増させている。そして、新開発の「テラヘルツ・トランジスタ」(1テラヘルツは1000ギガヘルツ、または1兆ヘルツ)は、メモリ集積度が1年半(18カ月)で2倍になるという「ムーアの法則」により、今後10年にわたる有効性が実証できたという。

 しかし、半導体が高性能になる一方、既存のトランジスタ設計が抱える問題点として、消費電力の増大、リーク電流、熱問題があった。そこで同社は、新型トランジスタ「完全空乏型基盤トランジスタ(デュプリティド・サブストレート・トランジスタ)」と、「高誘電率ゲート絶縁膜(High-k ゲート・ダイエレクトリック)」により、この問題を解決することに成功した。

 「完全空乏型基盤トランジスタ」は、絶縁層を堆積した上部に極薄シリコン層を設け、そこに形成される新型のCMOSデバイス。従来のSOI(シリコン・オン・インシュレータ)手法(絶縁物上にシリコン半導体を形成した半導体構造)と比較して、オフ時のリーク電流を100分の1までに抑え、低電圧で動作させることを可能にした。また、二酸化シリコンを置換する新素材「高誘電率ゲート絶縁膜(High-k)」により、ゲート絶縁膜のリーク電流を現在の1万分の1以下に削減できる。

 同社は、この技術を今後5〜10年のマイクロプロセッサの基礎となると確信しているとした。

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