ワイヤレスでも覇権を狙うインテル

2001/11/29

 インテルは11月28日、「Intel Network and Communications Day」と題し発表会を行った。米インテルの副社長兼セルラ・コミュニケーションズ事業部長のハンス・ガイヤー(Hans G.Geyer)氏が、携帯電話チップセット事業についてプレゼンテーションを行い、モバイル・コミュニケーションズ事業部長のタイズーン・ドクター(Taizoon Doctor)氏がIEEE 802.11a準拠の無線LANの新製品を発表した。

ハンス・ガイヤー氏

 ガイヤー氏は、今後携帯電話が世界的にも“音声+データ”へと移行していくことから、日本でのiモードの「多くのコンテンツにより、多くの顧客を獲得する」という戦略に学ぶべき点が多いと述べた。

 また、「処理能力を高めることで、高機能アプリケーションやリッチなインターフェイスを実現できる。また、オープンアーキテクチャにすることで多くのアプリケーションを獲得できる」とし、この点についてはパソコン市場も携帯電話市場でも変わりはないと述べた。さらに「ワイヤード(有線)とワイヤレス(無線)のインターネットが別々に存在するわけではなく、モデム、CATV、DSL、PDC、GPRS、W-CDMAなどはあくまでも1つのインターネットに接続するための技術にすぎない」とした。

 「現状では複数のプラットフォームが存在し、また通信スタックと演算スタックが明確に分離していないため、開発効率が落ちている。そこでインテルでは、通信スタックと演算スタックを分離するインテル パーソナル・インターネット・クライアント・アーキテクチャ(インテルPCA)を提唱し、さまざまな企業に支持されている。これにより多くのアプリケーションを作り出されることで、その中からキラーアプリケーションが創造されることを期待している」とした。そして、「今後も、2G向けのチップセットを提供しつつ、Java対応などの2.5G向け、そして3G向けにチップセットを提供していく」という戦略を説明。さらに、2000年12月5日に発表済みのインテル マイクロ・シグナル・アーキテクチャ(インテルMSA)とインテルXscaleマイクロアーキテクチャ、そしてフラッシュメモリを統合したチップセットを2.5G/3G向けに開発していることも表明した。

■IEEE 802.11a準拠の新製品群も発表

タイズーン・ドクター氏

 ガイヤー氏に引き続き、ドクター氏がIEEE 802.11aに準拠した5GHz帯無線LAN製品「インテル PRO/Wireless 5000 LAN 製品ファミリ」を発表した。ドクター氏は、802.11aがほかに干渉するデバイスのない5GHz帯を使っていることと、最大54Mbpsの速度、そして4つのノン・オーバー・ラッピング・チャネルを有することで、802.11bよりも優位であると説明し、「インテルは5GHz帯への移行を推進していく」と強調した。

 発表された製品は,アクセスポイントとPCカードとPCIカード、ノートPCなどの組み込み用途のmini-PCIの各クライアントアダプタの合計4製品。アクセスポイントは、802.11bと併用できる「デュアルモード拡張キット」がオプションで提供される予定。また、アクセスポイントは、イーサネットケーブルから給電するため、別途電源の必要がない。

 価格と発売時期は以下のとおり。

・アクセスポイント 9万9800円(2002年1月下旬発売)
・PCカード 2万4800円(2002年1月下旬発売)
・PCIカード 3万2800円(2002年2月下旬発売)

 このほか、アクセスポイント1基とPCカード用アダプタ2枚をセットにした「スタータ・キット」を、2002年1月下旬に9万9800円で発売する。

[関連リンク]
802.11a製品発表資料
インテルPCAの発表資料
インテルMSAの発表資料
Xscaleマイクロアーキテクチャの発表資料

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