バックボーン構築の経験とMPLSがポイントとシスコ

2002/1/31

MPLSの最新テクノロジーについて説明する、米シスコシステムズ ITD Product Marketing Manager アザール・サイード(Azhar Sayeed)氏

 シスコシステムズは、同社の持つ技術や数々のソリューションを紹介するイベント「Cisco Network Solution Seminar」を、都内で1月30〜31日までの2日間にわたり開催している。同イベント会期中、「メトロ・ネットワーク」「MPLS」などの分野について、その最新動向と同社の戦略をまとめたプレス向け説明会が行われた。

 メトロ・ネットワークは、いま最も注目集めるジャンルの1つであり、いかに帯域を確保しつつ付加サービスを提供していくかを目標に、業界各社が各種技術を組み合わせ製品開発にしのぎを削っている。この分野における同社の取り組みでは、「これまでのIPバックボーン構築で培った経験と、MPLSにおけるリーダーシップがキーになる」(同社 山中理恵氏)という。

 先日発表されたCatalyst 2950/3550のように、QoSなどの機能を標準サポートしたローエンドのスイッチ製品を展開することで、メトロのエッジにあたる部分のボトルネック解消の実現を目指す。さらに今回、ラスト・ワン・マイルの回線のボトルネックを解消する手段の1つとして、IEEE 802.3ahで策定中の「EFM(Ethernet in the First Mile)」を紹介した。レイヤ1とレイヤ2に関する新技術を多く含んでおり、ラスト・ワン・マイルにイーサネット技術を持ち込む。また、電話線を利用した長距離イーサネットを実現するLREソリューションへの取り組みについても紹介した。これら技術により、ホームからビジネスまで帯域幅向上に貢献することになる。

 バックエンド側の技術については、10GbEのCatalyst/Ciscoルータ用モジュールの出荷を開始したことを発表した。IEEE 802.3ae準拠の「10GBASE-LRモジュール」とWWDM伝送方式で長距離に対応した「10GBASE-EX4モジュール」の2つで、Catalyst 6500シリーズとCisco 7600シリーズ用のインターフェイスとして動作する。

 そして、メトロ・ネットワークにおいて重要な技術であるMPLS(Multi Protocol Label Switching)については、「タグ・スイッチングの時代から含め、MPLSをいち早く市場に提供してきたのはシスコ」(米シスコシステムズ アザール・サイード(Azhar Sayeed)氏)と、同社が業界に先んじてMPLSに注力してきたことを強調する。その最新成果がAToM(Any Transport over MPLS)と呼ばれる、MPLSネットワーク上に異なる種類のレイヤ2フレームを通す技術である。AToMにより、イーサネットだけでなく、フレーム・リレーやATMといった既存インフラ上にMPLSを用いたVPNなどを展開することが可能となる。

 また、「MPLS Fast Re-route」という高速な障害回復機構と、「MPLS DiffServe Traffic Engineering(DS-TE)」という高度な帯域保証を実現する仕組みを紹介した。これら機能はモジュールとして提供され、すでに出荷分のものも含め、今年上半期中には製品が出そろうことになる。MPLSの機能強化により、インフラ構築の柔軟性や可用性がよりアップしたといえるだろう。

(編集局 鈴木淳也)

[関連リンク]
Cisco Network Solution Seminar '02

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