Microsoft.NET成功のカギは、開発者からの支持を受けること

2002/3/9

 マイクロソフトが本格的なWebサービスへの時代に通じる扉を開けた。同社は3月8日に開発者向けのイベント「Microsoft .NET Day 2002」を横浜で開催。これを皮切りに、同社のインターネット戦略であるMicrosoft.NETを実現するためのさまざまな開発者支援のプログラムを発表、開始する。

 イベントのために来日した米マイクロソフト開発ツール担当バイスプレジデントのトム・ボタン(Tom Button)氏は、「XML Webサービスは、過去にGUIがもたらした以上の変革を起こすだろう」と、Microsoft.NET戦略の技術的な要であるWebサービスのインパクトを強調した。

ボタン氏は、米マイクロソフト社内でQuickBasic、Basic Compiler、Visual Basicなどの開発にかかわってきた。右は、マイクロフトデべロッパー製品部 .NETマーケティング部 部長の安藤浩二氏」

 ボタン氏が挙げたWebサービスの利用シナリオとして、企業内に分散するさまざまなシステムの統合を例に挙げた。Webサービスにより、社内のシステムも社外のシステムも、顧客とも、すべて対等で容易な接続が可能になり、いままではできなかった柔軟なシステム統合が可能になる。同氏はすでに米メリルリンチで.NET技術を利用してメインフレームと社内のシステムとの統合に成功した例を挙げた。しかもこのシステムでは、1日に7500万トランザクションもの処理をこなしているという。

 マイクロソフトの当面の課題は、いかに多くの開発者をMicrosoft.NET環境に移行させるかだ。多くの開発者の支持を受けることが多くのソリューションを生み出すことにつながり、それがひいてはMicrosoft.NET戦略の成否を左右する。今回のイベントはその開発者支援サービスの幕開けとなるものであり、今後さらにそれを加速するために下記を発表した。

  • ソフトウェア開発者を対象としたコミュニティ「International .NET Association Japan」の支援
  • 教育機関や研究を目的とした組織のためのサービスプログラム「Microsoft Developer Network Academic Alliance」の開始。1組織当たり11万8000円で契約できる
  • 6社のパートナー企業より、24種類のVisual Studio .NETに関する各種トレーニングの提供

 3月22日に発売開始となるのは、同社の統合開発ツール「Visual Studio .NET」だ。Visual Basic、C++、C#を統合したこの開発ツールは、開発者にとってMicrosoft.NETの核となる製品だが、今回マイクロソフトはこれ以外にもXML Webサービスを構築するために3種類のツールキットの提供を発表した。

Office XP Web Services Toolkit
 OfficeアプリケーションをXML Webサービスと連携できるようにするツールキット

SQL Server 2000 Web Services Toolkit
 SQL Server 2000のXML対応機能を拡張する

BizTalk Server 2002 Web Services Toolkit
 BizTlak Serverで、複数のXML Webサービスを容易に統合する機能を実現する

(編集局 新野淳一)

[関連リンク]
Microsoft .net Day 2002

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