「あらゆるVB、C++開発者を歓迎する」とBEAのチュアングCEO

2002/3/13

 J2EE準拠アプリケーションサーバ「BEA WebLogic Application Server」で一躍その名を知らしめたBEAシステムズは、シナリオを着々描きつつある。同社は先日、高いシェアを誇るWebLogicをベースに、ポータルなどの機能を統合した「BEA WebLogic Platform」を発表、さらに同時に発表したWebサービス開発のフレームワーク「BEA WebLogic Workshop」では、非Java開発者もターゲットにする。3月12日、米BEAシステムズ 創設者兼CEO アルフレッド・チュアング(Alfred Chuang)氏が来日、CEOとして初めて日本のプレスの前に立った。

アルフレッド・チュアングCEO 1年日本に住んでいたこともある

 チュアング氏は、「BEAはもはやアプリケーションサーバ・ベンダではない」と脱皮宣言する。“アプリケーションインフラ・ベンダ”を標榜するBEAの次なる課題は、エンタープライズ・コンピューティングを完全にWebベースへと移行させること。WebLogic ServerをコアとしたWebLogic PlatformおよびWebLogic Workshopで実現していくという。「非常に重要」とする日本市場については、モバイルで先行している市場の特徴を生かし、この分野での同社製品の優位性を訴えていく。「モバイルアプリケーション構築には、接続性が高く、高度に分散化された環境が不可欠」とし、同社製品はこのプラットフォームとして適しているとした。

 また、チュアング氏は、BEAが厳しい経済状況の中でも順調に成長を遂げていることも強調した。「2002年度の通年決算では、総売上高は前年期比19%増の9億7600万ドル、ライセンス収入は同25%増の5億9800万ドルを記録した」とチュアング氏、キャッシュも10億ドル以上を保有するなど、テロ事件後に陥った困難な状況を脱し、再度成長路線に乗った模様だ。

 強みは「エンタープライズシステムにおけるアプリケーションインフラのみに的を絞っていること」。今後、積極的に研究開発投資を行い、標準化団体などでの技術面での主導的役割を担っていく。研究分野としては、シングル・サイン・オン機能などアプリケーションレベルでのセキュリティ、事前復旧などアプリケーションレベルでの管理機能、データベースとの統合技術などがあるという。また、Webサービスの相互運用性で強いリーダーシップをとることも表明、「マイクロソフトやIBMなどと「Web Services Interoperability(WS-I) Organization」を結成し、創立メンバーとなっている。ここでは他ベンダと連携して、相互運用性を実現する技術の策定や検証などを行う。BEAはその中でも主導的立場をとっていきたい」と述べた。

 そのWebサービスに関して、プログラミングのモデルを提供するWebLogic Workshopでは、これまでの技術指向の強いエンジニアから、上層のビジネス・ロジックの設計者やアナリストといった層も取り込んでいく。当然、Visual BasicやC++ユーザーもターゲットに入っている。「.NETになって、これらの開発者はC#を強制されることになる。Javaという選択肢も大いにありうる」とチュアング氏は述べ、「すべてのVB、C++開発者を歓迎する」とした。

 また、Java VM「JRocket」を提供するスウェーデンのベンダ、アピール・バーチャルマシンの買収についても触れた。「IntelベースのWindowsおよびLinux上で動作する最速のJava VM技術を手に入れた」(チュアング氏)。先週末、米サン・マイクロシステムズがWindows XPにJavaを搭載するよう米マイクロソフトを訴えたが、BEAではこれをチャンスと見ている模様だ。

 米国でのWebLogic PlatformおよびWebLogic Workshopのリリースは今年6月を予定(評価版は同社サイトよりダウンロードが可能)している。日本でも、タイミングをみて開発者向けイベントなどを行うという。

(編集局 末岡洋子)

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