Enhydra撤退が示すアプリケーションサーバ市場の転換期

2002/4/9

 米CRNによると、ミッドレンジのJavaアプリケーションサーバ・ベンダとして知られる米Lutrisは4月4日、大手ベンダの独占状態にあるアプリケーションサーバ市場から撤退すると発表した。Lutrisのアプリケーション・サーバは、日本国内でも大手SI事業者のNECソフト、マクニカ ネットワークス カンパニーがリセラーとなっており、最新バージョンの「Lutris Enhydra Application Server 4」の国内販売を開始したばかりだった。

 同社のCEO Yancy Lind氏は、「アプリケーションサーバ市場では、デファクトになれなければビジネスは成立しない。実際は多くのユーザーが大手ベンダから製品を購入している」とし、「われわれは撤退して、新しい事業分野を模索する」と語ったという。

 米Lutrisは、当初オープンソース版の「Enhydra」を市場に公開し、オンラインコミュニティ「Enhydra.org」(http://www.enhdra.org/)の成長を促進させた。2001年1月、サン・マイクロシステムズからJ2EE認証を受けた後は、EJBコンテナを実装したLutris Application Serverを有償版として販売を行ってきた。同社のアプリケーション・サーバは、JSPを使うことなく画面デザインとロジックの完全分離を実現するXMLコンパイラやボーランドのJBuilderと連携し開発を容易にするツールを提供するなど、そのユニークな特徴が注目されていた。

 同社の戦略は、オープンソース版で市場での認知度を高めた後、EJBコンテナ/クラスタ機能を実装した有償版で一気に市場シェアに食い込もうというものだった。しかし、本格参入のタイミングは遅く、市場はすでにIBMやBEAシステムズ、オラクルといった有力べンダに勝ち取られた後だったと言える。アプリケーションサーバ市場はいまや、製品単体の市場ではなくなってきている。今回の同社の撤退は、アプリケーションサーバ周辺に構築されるサービス全体をサポートできなければ、勝ち残れない時代が到来したことを証明した出来事とも言えるだろう。

 なお、国内リセラーであるNECソフトは、4月8日に弊社が問い合わせたところ、「確認中」とコメントしている。

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