コグノス、右脳型ITを実現する“CPM”を推進

2002/5/22

 ビジネス・インテリジェンス(BI)ツールベンダのコグノスは3月1日、これまでの帝人とのジョイント・ベンチャー(JV)から、本社であるカナダコグノスの100%子会社として再発足した。これに合わせ、社名も「帝人コグノス」から「コグノス」へと改名した。過去3年間、前年度比30%増で成長を遂げてきた同社は、今年、製品の売上目標を前年度比40%増と上方修正し、飛躍の年となることを目指す。その戦略の3本柱が、CPM(コーポレート・パフォーマンス・マネジメント)の推進、パートナー戦略、高品質だ。

 CPMとは、ガートナーの提唱するビジョンで、“企業のビジネス・パフォーマンスを監視・管理するうえで用いる方法論、基準、プロセス、システム”のこと。カナダコグノスのCEO ロン・サンボニーニ(Ron Zambonini)氏は、CPMコンセプト採用の背景を以下のように説明する。「企業は、予算縮小、人員削減などのプレッシャーに常にさらされており、取り巻くビジネス環境はかつてないほど厳しいものになってきた。コグノスはこれを、ビジネスチャンスに変える手助けをしたい」(サンボニーニ氏)。

 サンボニーニ氏によると、現在の多くの企業に欠けているのは、戦略、予算編成、実施などを連動させて管理サイクルを実現、さらに重要となる人材や情報、意思決定というプロセスを、効果的に経営活動とリンクさせるフレームワーク。BIはこれを後押しするもので、CPMはさらに戦略的に応用した手法となる。「部分的なツールではなく、包括的、統合的なツールの提供がコグノスの強み」とサンボニーニ氏。

 CPMの提唱元であるガートナージャパン ジャパン リサーチ センター リサーチディレクター 栗原潔氏は、IS部門の役割の変化とCPMの必要性について次のように語った。「IS部門は従来の効率性から、効果が求められている。つまり、より創造性のある“右脳型IT”に生まれ変わる必要がある」(栗原氏)。その右脳型IT実現のために、投資すべき分野が企業経営のフィードバック・ループ。戦略(戦略立案)、業務(実行)、トランザクション(業務処理とトランザクション)の3層をいかに効果的に迅速にまわすかが企業の成功を分けるという。

 BIは情報を効果的に活用するために用いられてきたツールだが、栗原氏によると、(特定部門ではなく)全社的なビジネス・パフォーマンスを測定していくCPMでは、これまでのエンドユーザー主導の短期戦術としてのBIだけではなく、今後はトップダウン型のアプローチも求められるという。まだ米国でも先進的な企業しかCPMを導入していないが、ガートナーでは、2004年までに企業の40%がCPMを実装すると予想している。

 2点目のパートナー戦略では、現在、アシスト、インフォコムを中心に108社とパートナー契約を締結している。今後は、SIおよびハードウェアベンダを中心にさらに拡大し、パートナー売上比率を現在の80%から90%に押し上げる計画。

 同社 代表取締役社長 田上一巳氏は、「経営革新が最大のテーマとなっている現在、コグノスは知的インフラを提供する」と抱負を語った。

(編集局 末岡洋子)

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