[Interview]
データ統合にスピードをもたらすセイジェント

2002/2/23

 昨年からBI(ビジネス・インテリジェンス)という言葉が目立つようになってきた。各種財務データをさまざまに分析して経営意思決定に役立てたり、コールセンターやWebサイト、営業部門などの顧客コンタクトポイントで集めた顧客データから新たなマーケティング上の知見を得る──といったことが喧伝されている。しかし、実際にこのような分析(OLAPやデータマイニング)を行おうとすると、財務データであれ、顧客データであれ、データは企業内に分散して存在しているため、まずはデータウェアハウスとして1つに集めるという作業が必要になる。

 こうしたデータウェアハウス構築の際、工数の70%は異なる形式のデータを統合するためのコンバートに割かれるといわれる。こうした問題に解決策を提供しているのが米セイジェント テクノロジー。先日来日した同社 プラットフォーム開発担当バイス・プレジデントのマイケル・ハマート(Mike Hemmert)氏と同社日本法人代表取締役社長の森康人氏に、マーケットの状況と同社の戦略を訊いた。


――ETL(Extraction, Transformation and Loading)ならびにBIの現状は?

マイケル・ハマート氏 日本でのユーザー企業数は100を上回り、シェアトップ(38.5%)という

ハマート氏 企業におけるデータ量は、指数関数的に増えつづけていくと予測されており、BIの需要はさらに高まるでしょう。その際、重要な要素となるのが、各データソースからデータを統合するETLのパフォーマンス──データ処理速度になってくるでしょう。

森氏 銀行に限らず大企業といわれるところは、昨年の前半までに、“CRM推進”ということでコールセンターやSFA、あるいはECなどのシステムの導入が進みました。ですが、いざコンシューマの動向を分析しようとした場合、データの統合化という課題に突き当たるのです。

  データ統合ニーズはCRMに限ったものではありません。連結決算を含めた管理会計の分野のレポーティングでも求められています。例えば、管理会計のレポートを出すためには、売り上げだけでなくコストも必要ですから、営業部のデータ以外にコスト部門すべてのデータが必要です。それをスピーディに、簡単に集め、さらに統一化された視点でリアルタイムに見る、というニーズが出てきています。

 こういった異なるシステムのデータ統合はこれまで、膨大な時間と経費のかかる作業でしたが、それをいかに短期間に実現するかが戦略としても重要になっています。セイジェントのツールは、ノンプログラミングで短期間にそうした作業を行えます。また、統合データウェアハウス運用開始後も、データソース側のデータ構造の変化にも、短期間で対応できます。

――御社のソリューションはどのようなものですか?

ハマート氏 7年前の設立時のBI市場は、意思決定サポートのフロントエンド関連ベンダと、ETLのバックエンド関連ベンダにニ分化されてました。顧客は、大変な思いをして両方の製品を統合していました。セイジェントは、バックエンドとフロントエンドをまとめた形で1つのBIのソリューションを提供することを目的に設立されたのです。

 弊社の製品は、データロードサーバ、データアクセスサーバ、データアクセスサーバのオプションとしてのWebリンクサーバなど、いくつかのサーバから構成されます。このほか、フロントエンドソリューションとして、レポーティングやチャート作成をするためのツールも用意しています。それから、データ統合のスケジューリングやETLタイプのデータの移動のプランを立てるときに利用する、オートメーションサーバもあります。

 特徴は、これらのETLとBIフロントエンドの製品を1つの統合化されたソリューションとして供給できることです。また、データの設計・変換のための作業がドラッグ&ドロップで行えるため、他社製品を使った場合と比較すると時間が約半分に削減できます。SQL Server、Oracle、DB2、Red Brickなどの各種データソースに接続するためのアダプタも用意しています。

 拡張性も特徴です。データの追加、CPUの増強、企業数の増加などに柔軟に対応します。

――セイジェントのアドバンテージはどこになりますか?

ハマート氏 まず、パフォーマンスがあります。製品のコアであるデータロードサーバとデータアクセスサーバは、高い処理パフォーマンスを実現する共通のアーキテクチャを採用しています。

 通常のETL製品の場合、われわれが“ステージド・アーキテクチャ”と呼ぶアーキテクチャで、まずデータを読み込みディスクにテンポラリファイルを作り、作業を行う。そしてまた変換作業をして、またロードする、という作業を物理I/Oを発生させながら繰り返すのです。

 これに対し、弊社製品では、“パイプラインド・アーキテクチャ”を採用しています。データソースからデータをブロック単位で抜き出しながら、データロードサーバあるいはデータアクセスサーバのメモリ上でパラレルに処理するといったことが可能で、パフォーマンスとスケーラビリティが大きく向上します。

 このパイプライン・アーキテクチャは、BIフロントエンド側にも、表示を早期化するといったメリットをもたらします。

 2番目の利点は、弊社が“次世代のWeb製品”と認識している、BIフロントエンドを開発するiStudioの製品群を用意していることです。これにより、社内のエンドユーザーがインストールなしに、アドホックな検索を行うなど、データウェアハウスの中にある全データにアクセスできるアプリケーションを配備することが可能です。

 このほか、Excelとの統合も実現しています。マクロも含めてExcelをレポジトリの中に入れ込むことができるため、エンドユーザーがWebブラウザから見にいくと、Excelで加工されたシートがそのままでてくる、ということが可能となります。そのあとの加工も自在にできます。

――今後の課題は?

ハマート氏 常にパフォーマンスという課題に取り組んできました。今後もこの分野での他社との差を、さらに広げていきたいと思っております。

 また、オープン性も強化していきたい分野です。例えば、既存のBIシステムと弊社製品との統合などです。例えば、マイクロソフトの.NETをベースとしたシステムに、弊社製品を統合して、さらにユニークな製品にしていくというようなことも考えていきたいですね。

(編集局 鈴木崇)

[関連リンク]
セイジェント テクノロジー ジャパン

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