Webサービスを取り入れたCRMを推進するオニックス

2002/7/18

 オニックス・ソフトウェアは7月17日、新ポータル製品「日本語版 Onyx Partner Portal 3.0」を発表した。これにより同社のポータル製品のラインナップがすべて出そろうことになる。この日、米国本社からCEO兼共同設立者のブレント・フライ(Brent Frei)氏が来日し、同社の戦略について語った。

米オニックス・ソフトウェア CEO兼共同設立者のブレント・フライ(Brent Frei)氏

 売上高が前年割れするベンダが多いIT業界だが、米オニックスは今年度、前年度比23%増の1800万ドルの売上高を見込んでいる。中でもライセンスの売り上げは、前年比100%増の600万ドルを上回る予測という。最新の四半期では3四半期連続で収益増となったことから、フライ氏は、同社が再び成長路線に戻ったことを強調する。

 フライ氏は苦戦するベンダの多いCRM業界について、以下のように語る。「現在のCRM業界不振の原因は、導入率と成功率があまりにも乖離しているから」。つまり効果が出ていないためユーザーの間に不信感が募っている状態だという。だが、同社はこれらのベンダとは違うとフライ氏は強調、「オニックスでは成功事例を多く出しており、これが弊社の売上増という結果につながっている」と成長の理由を分析する。

 同社の強みは、広範囲の業種での経験と、製品を短期間かつ低コストで実装できる点。それを実現するのがUnicodeおよびWeb対応アーキテクチャだ。機能モジュールを数多く提供するCRMベンダとは異なり、同社はシングル・アーキテクチャというアプローチをとっている。これが、短期・低コストでの実装を可能にしているという。

 フライ氏は現在のCRMを「オペレーショナル(業務)CRM」とし、CRMを全社的に利用して効果を出すことを目的としていると定義する。このオペレーショナルCRMが完成した後は、Webサービスで他企業(のCRM)と連動するCRMの新たなフェイズとなる。つまり、どのCRMシステム、プラットフォームを採用しているのかにかかわらず、企業がある顧客や顧客層に対して共同でCRMを展開し、相乗効果を上げるというものだ。例えば、住宅を購入する顧客に対し、不動産、仲介業者、建築家や建設業者、損害保険会社など、住宅購入プロセスにかかわる企業が情報を共有し、共同で顧客維持・顧客満足度向上につなげていくような例が想定される。フライ氏はこのフェイズを「Webサービスを取り入れたCRM:インターネットビジネスネットワークCRM」と定義し、同社はすでにこの次世代CRM時代の到来に向け、取り組みを開始していることをアピールする。すでに産業別サービスプロバイダと連携して、プロバイダのポータル内で同社のWebサービスを提供するなどだ。また、同社のWebアーキテクチャは次のフェイズのCRM市場においてもXMLのサポートなどで競争優位に立てるという。

 同社がこの日発表した製品は、「日本語版 Onyx Partner Portal 3.0」(OPP)と「日本語版 Onyx Customer Portal 3.0」(OCP)で、OPPは日本市場に初登場となる(OCPは既存製品のバージョンアップ)。両製品とも出荷は今月末に開始する。

 OPPは、(販売元)企業が代理店との間で情報共有を可能にするポータル製品。すでに提供されている従業員向けポータル製品「Onyx Employee Portal 3.0」と併用することにより、顧客データや案件データの共有・管理がリアルタイムで行える。

 OCPでは、旧バージョンまではマイクロソフトのSiteServerベースだっただ、この制約をはずし、どのWebサイト構築プラットフォームでも動作するようになった。日本で先行開発した製品で、今後世界で展開する。

(編集局 末岡洋子)

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