BtoC加速に向け、VISAがパスワードを用いた新認証サービス

2002/7/23

ビザ・インターナショナル アジア太平洋地域 e-Visa担当 シニア・バイス・プレジデント マーク・バービッジ氏。豪州では同サービスにICカードを組み合わせた金融機関もあり、2年後にはPCなどの端末にICリーダーが組み込まれると予測する「だからといって待つ必要はない」。現状の技術で安全なECが実現できるという

 オンライン上を流れるトランザクションの9割は決済に関連するものだという。それに伴って、オンライン決済における安全性に対する不安の声が、プライバシー保護への懸念とともに、高まりつつある。

 ビザ・インターナショナルは7月22日、BtoCの決済手段「VISA認証サービス」を日本で展開することを発表した。年内にも、三井住友カードなど7社の金融機関より同サービスが提供されることになる。従来のID番号と有効期限に加え、パスワード入力が特徴となっており、各社は安全性を強化した同サービスの提供により、拡大が見込まれるオンラインショッピングに弾みをつける狙いだ。

 このVISA認証サービスは、米国では“Verified by VISA”というサービス名で、すでに昨年末より本格運用が開始されている。日本でも、DCカードが昨年夏より1000人のモニターを対象に約4カ月間の試験運用を行っており、好意的な回答を得られているという。「約8割の消費者がインターネット上でのショッピングに対し、セキュリティ面で不安を抱いている。VISA認証サービスの本格運用がスタートしている米国では、ユーザーの懸念が軽減したという報告もある」(ビザ・インターナショナル アジア太平洋地域 e-Visa担当 シニア・バイス・プレジデント マーク・バービッジ(Mark Burbidge)氏)。

加盟店のサイトとは別にポップアップ画面が表示される (画像をクリックすると拡大します)

 同サービスのベースとなるのは、相互運用が可能なセキュリティ・プラットフォーム「3-Dセキュア」。同プラットフォームは、暗号化技術を用いてカード会員の個人情報の傍受や通信データの改ざんを防ぐというものだ。同サービスに加盟しているショッピングサイトなどで利用すると、加盟店のサイトとは別にポップアップ画面が表示され、そこにID番号、有効期限、パスワードを入力する。承認が済むと、ポップアップ画面は自動的に閉じ、購入作業が終了するという仕組みだ。カード発行会社とカード会員とが直接やりとりを行うため、安全が増すという。利用者はカード発行金融機関で登録を行い、パスワードを取得しておく必要がある。

 この日、同社が提携関係を発表した金融機関は、三井住友カード、日本信販、ダイエーオーエムシー、クレディセゾン、ディーシーカード、UFJカード、ユーシーカードの7社。この7社は、日本のVISAカードの年間取扱高の8割以上を占める。

 2001年の日本のBtoC総売上高は8000億円で、今年は1兆5000億円規模に達すると見込まれている。バービッジ氏は「本来のポテンシャル(潜在)市場にはまだ達していない」と意欲を見せ、市場に先手をかける。また、なりすましやハッキングなどのオンライン犯罪に対する同社の取り組みにも触れ、先日欧州でオンライン犯罪が起こりかけた際は、関連サイトを閉鎖するなど時間単位で対処した結果、消費者への実損害を防ぐことができたという。

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