開発ツール過去最高の売り上げのVS .NET

2002/4/26

 マイクロソフトによると、先月出荷を開始した開発ツール「Visual Studio .NET」(VS .NET)の売り上げ状況は非常に好調で、「3月単月では、弊社の開発ツールとしては過去最高の売り上げを記録した「Visual Studio 6.0」の2〜3倍の出荷台数となった」(同社 デベロッパー・マーケティング本部 デベロッパー製品部 マネジャー 田中達彦氏)という。 なお、 Visual Studio製品群は、6月に出荷打ち切りとなる。

 マイクロソフトは先日、プレス向けに開発ツールにおける同社の戦略を明らかにした。田中氏によると、VS .NETの売り上げは好調で、「市場に受け入れられている証拠」とコメントした。

 Webサービスをめぐっては現在、同社の.NETとJ2EEアプリケーションサーバの両アプローチが存在する。田中氏は同社の戦略を、「パートナーが収益を上げられるモデル」と描写し、「(市場で言われているように)独占を目的としているわけではない」と言う。同氏によると、IBMはアプリケーションサーバ(WebSphere)上に同社のグローバルサービス部門がフレームワークを構築するため、パートナーが収益を得られるのはその上のアプリケーションのみだ。また、BEAシステムズや日立製作所などの場合は、それぞれのベンダのアプリケーションサーバ上にフレームワークを提供するベンダが存在し、SI事業者は収益を得にくい仕組みとなっているという。

 「マイクロソフトの場合、Windows 2000 Serverと.NET Frameworkでアプリケーションサーバの役割を満たし、フレームワークおよびアプリケーションはパートナー企業が自由に構築できる。マイクロソフトは独占といわれるが、弊社を信じてついてきてくれるパートナーがもうかる仕組みを提供する」と言う。また、同氏は「IT業界の仕組みとして1社だけが儲かるのはナンセンス」とも述べた。

 VS .NETは、OSレベルからフレームワーク、アプリケーションのすべてをサポートするという位置付けだ。「サーバ、クライアント、サービスの3つが有機的に結びつくのが.NET構想。この構想において開発ツールは重要な屋台骨となる」(田中氏)。

 開発ツール分野での今後のロードマップは、米国で今月初めに開催された「Microsoft Tech・Ed 2002」にてベータ版が発表された、「Smart Device Extensions for Visual Studio .NET」(.NET Compact Frameworkのアプリケーション開発ツール)、「.NET Compact Framework」(小型端末用の開発ツール)の正式版が今年後半に登場する。これら2製品のベータ版は現在、英語版のみだが、正式版では日本語版も提供される。Javaプログラマ向けに、「Visual J# .NET」「JLCA(Java-Language-to-C# Conversion Assistant)」の販売を年内に開始する。Visual J# .NETはVSにアドオンすることによりJavaプログラマが.NETアプリケーションを開発できるツールで、JLCAはJavaソースをC#に変換するツール。

 また田中氏は、今年の6月にVisual Studio製品群の販売を中止することも発表した(VS 6.0 Enterprise Editionのみ継続して取り扱う)。その理由について、「.NETの使用により、エンドユーザー、開発者のニーズにこたえられるから」としている。

(編集局 末岡洋子)

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