「製品戦略を転換させる製品」、SASがBI向けポータル発表

2002/9/27

 SASインスティチュート ジャパンは、同社のBI(ビジネスインテリジェント)ツールや他社のデータベースソフト、オフィスソフトなどを統合して、ユーザーが単一の窓口を通じて利用できるようにするポータル構築ツール「SAS Information Delivery Portal」(IDP)を、10月1日に発売すると発表した。グループウェア機能中心のEIP(企業情報ポータル)では物足りない企業をターゲットに売り込みを図る。価格は年間ライセンスで779万円から。

 SASの代表取締役社長 堀昭一氏は「企業が成長を続けるには、トップの決定に従い、各部門でBIの情報を活用して戦略を策定し、実行するというサイクルが重要」と述べ、「効率よくBIを利用するには各部門のニーズに合ったポータルが必須」とIDPの意義を説明した。

SASのマーケティング本部長 安藤秀樹氏

 SASによると、企業がBIツールを導入するうえでの障害になっているのは、現場のスタッフが使いこなせないことや、社内の技術不足など。一方で、比較的操作が簡単なEIPで得られる情報は、外部から配信された一般的なニュースや社内のニュースなどが中心で、現場での意思決定に役立つような情報は少ない。IDPはすでに構築されているBIツールや、社内のグループウェアにシームレスにアクセスでき、適切な情報を入手できるシステム。システム部門以外のスタッフでも簡単に利用できるWebベースのインターフェイスを採用して、全社的に情報の配信や共有を可能にするという。

 IDPのメイン機能は、BIツールで作成した分析結果のレポートなどを、情報を必要としているユーザーのパーソナライズされたポータルに配信できること。ユーザーは配信された情報をWebブラウザを使い、ポータルで確認できる。BIツールのレポートのほかに、Wordの文書やPowerPointの資料など幅広く配信可能。情報の配信者は確実に必要なユーザーに情報を届けることができ、ユーザーは迷うことなく必要な情報を入手できるという。

 ユーザーはポータルからデータベースにアクセスして、OLAP分析を行い、その情報を取り出すことも可能。Webブラウザを使い、わかりやすいGUIを採用しているため、専門の担当者でなくても適切な情報を得られるという。

 SASのマーケティング本部長 安藤秀樹氏は、IDPについて「BIなど単一のユーザーが使うツールから全社的に利用できるツールへSASの製品戦略を大きく転換させる製品」と述べた。IDPがSASのBIソリューションを強化させることができるか、今後が注目される。

(垣内郁栄)

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