ネット広告不振でメール重視、ダブルクリックが新ソフト

2002/9/28

ダブルクリックの代表取締役社長 CEO 木戸孝氏は「クリックメーラーにはすでに問い合わせが来ている。提供開始直後から複数の企業が利用を開始する」と新ソフトへの自信を見せた

 ダブルクリックは9月27日、メール広告の効果を測定できるレポーティング機能を備えた電子メール配信の管理ソフト「ClickM@iler」(クリックメーラー)を10月8日から提供すると発表した。ダブルクリックは同時に、業績の下方修正を発表。クリックメーラーで新規顧客を開拓して、業績の回復を目指す。

 クリックメーラーは初年度に30社の受注が目標。ソフトライセンスで3億円、データマイニングやコンサルティングを合わせて、計5億円の売り上げを見込んでいる。

 クリックメーラーは、韓国企業のInfowebが開発した電子メール配信ソフトの知的所有権をダブルクリックが1億8000万円で買い取り、カスタマイズした製品。ダブルクリックはこれまで、広告商品を開発する場合、米ダブルクリックからライセンス提供を受けることが多かったが、クリックメーラーはInfowebの技術を基に、日本でカスタマイズして独自に販売する。アジア太平洋地域にあるダブルクリックの現地法人にもライセンス販売する予定で、収入の拡大も期待している。

 クリックメーラーの特徴は電子メール配信後のレポート機能。配信結果を確認することができるのはもちろん、HTMLメールで配信すれば、電子メールの開封率やメール内のURLのクリック率、メールを読んでいた時間などがわかる。複数の配信結果を横断して、レポートを作ることができ、顧客企業はデータを分析して、マーケティングに生かすことができるという。

 電子メールの配信機能も充実していて、モバイルに対応したフォーマットでメールを配信したり、文字数制限や配信速度などを設定できる。ダブルクリックはクリックメーラーを導入した企業に対して、電子メールの作成や配信データの分析などコンサルティングサービスも提供する。ダブルクリックは、クリックメーラーを昨年7月から提供しているASP型のメール配信管理サービス「DART mail」と並ぶ、収益の柱に育てたい考えで、ダブルクリックの既存の顧客企業や、新規企業に提案していく。

 クリックメーラー標準パッケージのライセンス価格は1000万円。サポートなどランニングコストが、年間でライセンス価格の29%分かかる。ライセンス価格が1000万円の場合、別に年間290万円かかることになる。ライセンス価格は購入時にだけ支払う。

 ダブルクリックは2003年3月期通期の経常利益が3億8000万円の赤字になる見通しだと9月27日に発表した。従来予想は1億円の黒字だったが、Webのバナー広告事業が伸び悩んだ。メール関連の広告事業は売り上げを伸ばしているといい、クリックメーラー投入で立て直しを図る考えだ。

 Webのバナー広告はユーザーの物珍しさがなくなり、クリック率は低下傾向にある。そのため広告配信各社はユーザー個人に直接届くメール広告に力を入れていて、メールマガジンと組み合わせた広告など新商品の開発を続けている。クリックメーラーも単体だけでなく、さまざなメール関連コンテンツと組み合わせた利用が有効と言えるだろう。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
ダブルクリック

[関連記事]
[Interview] Googleの新広告は「非常に好評」、自信の背景は (@ITNews)
オークションで掲載順序を決定、Googleの新広告 (@ITNews)
[Spencer F. Katt]悪質化するスパム対策に一句? (@ITNews)
[Interview] 我々のメッセージング・システムは、セキュアで簡単な管理環境を提供する (@ITNews)
メール地獄?「メール処理で仕事時間が増えた」とユーザー (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)