米インテル社長がBaniasをデモ、キーワードはPCと通信の融合
2002/10/8
米インテルの社長兼COO ポール・S・オッテリーニ(Paul S. Otellini)氏は10月4日に開かれたセミナーで、インテルが開発している省電力のモバイル向けCPU「Banias」を搭載したノートPCのデモンストレーションを行った。オッテリーニ氏は「キーワードは、コンピュータと通信の融合。IT業界は大きな変化の中にある」と現状を説明したうえで、「流れを引っ張るのはシリコンだ」と強調。さらに「インテルが次世代のコンピューティングの中心になるのは確実だ」と自信を見せた。
米インテルの社長兼COO ポール・S・オッテリーニ氏は、「すべてのコンピューターが通信を行い、すべての通信機器がコンピューティングを行うことがインテルのシリコンで実現する」と述べた |
オッテリーニ氏はBaniasについて「モバイルによるワイヤレス通信の実現を目的に開発したCPU」と説明。NEC、松下電器産業、東芝が試作したBaniasを搭載したノートPCを公開し、無線LANを利用して、インターネット経由でテレビ番組をリアルタイムで再生させるデモを行った。オッテリーニ氏は年内にも投入する予定のハイパー・スレッディング対応の3.06GHzで動作するPentium 4のデモも公開。DVD再生ソフト、ビデオ圧縮ソフト、熱帯魚観賞ソフトを同時に起動し、それぞれがスムーズに動くところをアピールした。
また、オッテリーニ氏は2002年度の研究開発、設備投資に100億ドル近くを計上し、日本での製品プロモーションにも約180億円を投入したことを明らかにしたうえで「コンピュータと通信の融合はPC登場後の最大級のビジネスチャンス」と指摘し、「インテルのシリコンは融合の核になる」と述べた。
インテル日本法人の代表取締役社長 ジョン・アントン(John Antone)氏も、コンピュータと通信の融合について、「携帯電話など融合の見本となる製品が日本には多数ある。日本は融合における世界のリーダーシップを取る」と発言。「PCの性能向上、ブロードバンドの普及、多様なアプリケーションなど日本のPC市場が成長する要素が整い始めている」として、日本のPC市場が近く低迷を脱するとの考えを示した。
半導体業界は企業の勝ち負けがはっきりし、再編が進んでいる。三菱電機は、NECと日立製作所が合弁で設立したエルピーダメモリにDRAM事業を譲渡すると10月3日に発表。国内のDRAMベンダは1社になることになる。エルピーダメモリは巨額の設備投資が必要となるため、資本の増強が不可欠。インテルなど“勝ち組”のベンダに資本参加を要請する考えだ。米インテルのオッテリーニ氏はエルピーダメモリへの資本参加について「話はまだ来ていない」としながらも「市場の理にかなっていれば出資は検討する」と述べ、前向きな姿勢を示した。
(垣内郁栄)
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