映画館でもWindows Media、PC以外を探るマイクロソフト

2002/10/11

 マイクロソフトは12月に発表予定の「Windows Media 9シリーズ」ベータ版の詳細を発表した。Windows .NET Serverに最適化することで、コンテンツプロバイダは高水準な動画や音声コンテンツの配信が可能になる。マイクロソフトはPC以外での利用も推進したい考えだ。

 Windows Media 9シリーズはエンコーダや配信サーバ、プレーヤーなどからなるコンテンツ配信の統合ソリューション。Windows .NET Server 2003に対応するストリーミングサーバ「Windows Media Services 9シリーズ」は、ユーザーがコンテンツにアクセスした際に、実際にコンテンツが再生されるまでのバッファ時間を短縮したのが最大の特徴。「ファストストリーミング」という機能で、テレビのチャンネルを変える感覚でコンテンツを素早く切り替えて見ることができる。ファストストリーミングはライブ中継、オンデマンド配信で利用可能だ。ネットワークを占有することができない企業向けにコンテンツのデータを一括してクライアントに送信する「ファストキャッシュ」機能もある。

マイクロソフトのニューメディア&デジタルデバイス本部マーケティング部長 御代茂樹氏は、「ブロードバンド利用者の関心は動画。しかし、配信を受け取れる高クオリティのシステムがなかった」と述べ、今後はそれを実現できるのがWindows Media 9シリーズと位置づけた

 コンテンツ配信中にパケットをロスした場合のリカバリ技術も強化。ユーザーが利用している回線の通信速度によって、コンテンツ配信のクオリティを調整する「マルチビットレート機能」にも対応。動画だけでなく、音声のクオリティを調整できたり、画質の調整に加えて画面サイズも調整できるようにした。

 商用での利用を重視して、広告配信機能も向上させた。フラッシュやJPEG画像などを広告としてストリーミングで配信することができるようにして、表現力を向上させた。ストリーミング配信中でも任意の場所に広告を途中で配信することが可能。コンテンツプロバイダは生放送のテレビ番組を配信するように、ストリーミングコンテンツを自在に配信できるという。

 マイクロソフトがWindows Media 9シリーズで力を入れていくのが、商用のコンテンツ配信。マイクロソフトはWindows Media 9シリーズを使ったコンテンツ配信について、TBS、フジテレビ、テレビ朝日の民放3社が設立したテレビ番組のブロードバンド配信会社、「トレソーラ」とすでに話を進めていて、Windows Media 9シリーズの目玉コンテンツになりそうだ。Windows Media 9シリーズは、視聴するユーザーを複数のスピーカーで取り囲んで、ホームシアターの立体的な音響を再現する「5.1チャンネルサラウンド」に、Webのサービスとして初めて対応。マイクロソフトは一般ユーザー向けのコンテンツ配信だけでなく、映画館やコンサートイベントなどでの利用も想定している。

 実際に、9月に行われた米国でのベータ版の発表は、米マイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏がハリウッドで講演し、映画監督のジェームス・キャメロン氏が出席するなどWindows Media 9シリーズを利用した映画配信を強く印象付ける内容だった。

 マイクロソフトのニューメディア&デジタルデバイス本部マーケティング部長 御代茂樹氏は、Windows Media 9シリーズについて「新しいメディアのセンター」と説明。携帯電話やPDAなど組み込み型デバイスや、映画館への配信など「PCのアーキテクチャ以外のメディアを探ることがマイクロソフトの使命の1つ」と述べた。

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マイクロソフト Windows Media

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