支持広がらないInfiniBand、インテルの次の一手は?
2002/10/25
インテルはIAサーバに対応したInfiniBand対応製品の評価プログラムを作成したと発表した。InfiniBand技術を支持するハードベンダやソリューション開発企業が少ない現状を何とか脱却し、普及拡大につなげたい考えだ。
InfiniBandはサーバやストレージ、ネットワークのI/Oを高速化させるアーキテクチャで、インテルが中心になって業界団体を組織して標準化を進めてきた。ただ、InfiniBand対応のハードやソフトを導入するには、関係するシステム全般をすべて更新する必要があり、導入コストが膨大になる。開発の遅れもあり、サポートするベンダやソリューションは当初の予想ほど増えていない。
インテルが作成した評価プログラムは、InfiniBand対応のハードやソフトを製造するベンダと、InfiniBand対応製品の導入を考える企業とを結び付ける役割を果たす。インテルがInfiniBand製品をテストして、導入する企業のシステムに合わせてカスタマイズする。これにより、企業はInfiniBand導入によるコストやリスクを最小限に抑えることが可能になる。インテルやInfiniBandのベンダは出荷前のInfiniBand製品を実際の業務を通じてテスト、評価することができ、ソリューション開発につなげることができる。インテルは、このプログラムを通じてInfiniBandの普及を加速させたいところだ。
評価プログラムにはインテルのほかに、デルコンピュータやIBM、オラクルなどがソリューションを提供し、InfiniBandの評価を支援する。
IDFでInfiniBandについて説明する米インテルのエンタープライズ・プラットフォーム事業本部 アドバンスト・コンポーネント事業部 インダストリ・マーケティング・マネージャのアリソン・クライン氏 |
「インテル・デベロッパ・フォーラム Fall 2002」(IDF)でInfiniBandについて説明した米インテルのエンタープライズ・プラットフォーム事業本部 アドバンスト・コンポーネント事業部 インダストリ・マーケティング・マネージャのアリソン・クライン(Allyson Klein)氏によると、Windows環境のInfiniBand対応サーバやストレージ製品が出荷されるのは、2003年第4四半期になるという。InfiniBandが主に使われるとされるiDC向けのスイッチやI/Oボックスが登場するのは、2003年第2四半期の予定だ。同じ時期には、ソフトウェアでもDBアプリケーションやファブリック管理ツールが登場する。InfiniBand製品が本格的な普及を見込むのは2004年となりそうだ。アリソン氏はInfiniBandについて「ベンダやソフト開発など関係する業界は、順調に技術的な進化を見せている」と、InfiniBandが順調に進んでいることを強調した。
InfiniBandの普及が遅れた原因は、InfiniBandがあまりに革新的な技術のためといわれている。I/Oのボトルネックを解消して、システムの高速化を可能とするが、まったくの新技術のためリスクは大きく、コストもかかる。厳しい経済環境下でInfiniBand対応製品を新たに開発したり、導入を検討する企業が現れるかどうか、インテルの地道な施策が問われている。
(垣内郁栄)
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