EAI、BtoBを超えた、と自信満々のインフォテリア新版ASTERIA R2

2002/10/31

ASTERIA_R2_B2Bプロトコルで注文を受信し、SAPR3へIDoc経由で格納(クリックで拡大)

 インフォテリアは10月30日に同社のミドルウェア「ASTERIA R2」の新版を出荷開始したと発表した。平野洋一郎代表取締役社長が「EAI、BtoBを超えたビジネスインテグレーションプラットフォーム」と胸を張る新製品。ASTERIA R2は今年6月に出荷開始されており、今回発表されたのはアダプタ群などを拡張した新版。

 ASTERIA R2は「すべての『つなぐ』ニーズに答える」(平野社長)ことを目指した。XML対応でBtoBやEAI(Enterprise Application Integration)、ETL(Extraction, Transformation and Loading)といった、システム間、アプリケーション間を接続するミドルウェア。XML形式のデータだけでなく、SAP R/3、Notes/Domino、Excel、Tamino、eXcelon、PostgreSQLなどのデータソースへのアダプタを持ち、RosettaNet、Ariba、ebXML、SAP MROなどのビジネスプロトコルにも対応する。SMTP、HTTP、FTPなどのプロトコルで入出力可能で、ExcelファイルやPDFなどに出力することもできる。

 平野氏は、企業システムの開発にスピードが求められていることを指摘。「かつては、システム開発の初期段階で要件を固め、仕様を決定したうえで開発するスタイルが主流だったが、現在では企業の外部環境や経営環境の変化が早く、開発途中でも要件がどんどん変わっている」という。こうしたスパイラル型の開発では、プラットフォームにもそれに対応できる製品でなければなない、とした。

 ASTERIAのデータ変換や接続機能は、こうした開発の工数を削減する役割を果たすが、同時に複雑なプログラミングを必要としない点も特徴だ。「ASTERIAのキーワードの1つは、顧客の声を徹底的に聞いたこと」という同社の井下田久幸開発本部製品技術部長は、「コーディングレスであることも追求した」と、開発機能を紹介する。

 ASTERIA R2は、グラフィカルなデザイナーで、画面上のアイコンをつないでいくだけでビジネスロジックや変換ロジックを設計できる。また、XSLTではできない辞書を使った複雑な変換なども、独自の関数を用意するなどで実現する。こうした高度な機能も、日本のビジネスでの現場から発生するニーズに応えた結果だという。また、できあがった内容を仕様書として出力することができる。この機能も、当初は予定されていなかったが、あるSIから「これが印刷できて仕様書として納品することで、いままでの開発を変えたい」というリクエストに応えたもの。

 井下田氏が強調するように、ASTERIA R2は2年前に発表されたASTERIAの顧客などから寄せられた要望に徹底的に対応することでバージョンアップしてきており、一方でその間ASTERIAに関する大きな発表は意識的に避けてきていた。「最近の案件では競合にほとんど負けなくなった」という平野社長は、今回の発表とそれに続く11月に予定されているプライベートイベントで、満を持して新版を世に問う。XMLベンダから、BtoB、EAI分野へと大きな脱皮を図りたい同社は、このASTERIA R2新版に大きな期待をかけている。

(編集局 新野淳一)

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