Project eLizaの最新成果はTivoli

2002/11/6

 日本IBMはAutonomic Computing(自律コンピューティング)機能とLinuxへの対応を強化したシステム運用ソフト「Tivoli」の新しい製品ラインアップを発表した。IBMは自律型コンピューティングを実現する「Project eLiza」を進めており、「DB2 Universal Database V8.1」など自律コンピューティング機能を強化した製品をすでに発表している。

 新しいTivoli製品に搭載された自律コンピューティング機能は、自己構成、自己最適化、自己修復、自己防御の各機能を備える。自己構成は、サーバやPC、PDAなどシステムに接続されたデバイスの構成変更を自動で管理する機能。「Tivoli Configuration Manager V4.2」が対応する。自己最適化はドミノ 6 サーバと連携して、稼動状況から使用傾向をグラフ化し、今後の傾向を予測。対応策を明らかにする。「Tivoli Analyzer for Lotus Domino V6.0」が対応していて、今後「Tivoli Service Level Advisor」「Tivoli Business Systems Manager」もバージョンアップを行い、予測機能を強化する。

 自律コンピューティングの自己修復機能は「Tivoli Switch Analyzer V1.2」などが対応。スイッチレベルだけでなく、その下のポートレベルのネットワーク障害を感知して、トラブルの原因を分析する。自己防御は「Tivoli Risk Manager V4.1」などが対応し、システムに対するセキュリティ侵害があった際に、一括管理、対応するコンソールを提供する。

 日本IBMの常務取締役 ソフトウェア事業部長 堀田一芙氏は、「すべてのIBMソフトウェアに自律コンピューティング機能を組み込む」と宣言。自律コンピューティングの推進で、複雑化するシステム・インフラへの迅速な対応や、熟練技術者不足への対応、TCOの削減などが可能になるという。

 Linuxを管理できるようになったことも新ラインアップの特徴。これによってほぼすべてのTivoli製品がLinuxに対応したことになる。さらに、Tivoli管理サーバ自身もLinux上で動作するようになった。堀田氏は「TivoliはLinux完全対応となった。PCサーバの存在感は増していて、ユーザーもミッションクリティカルな使い方ができるということに気づきつつある」と述べた。

 日本IBMのTivoli事業推進 鈴木和洋氏は、「Tivoli製品は進化すればするほどユーザーから“見えなくなる”が、重要性は増していく」とコメント。IBMが考えるソフトウェアの進化レベルとして基礎から、管理、予測、適応、自律の5段階があると説明し、「今回リリースする製品は、“予測”から“適応”に該当する」と述べて、「最終的には自律レベルに達したい」と強調した。

(垣内郁栄)

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日本IBMの発表資料

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