IBMの最先端データ統合技術「Xperanto」

2002/10/12

IBMサンタ・テレサ研究所 情報統合計画総責任者 ネルソン・マットス氏(クリックすると拡大)

 IBMサンタ・テレサ研究所 情報統合計画総責任者 ネルソン・マットス(Nelson Mattos)氏は10月11日、「Database Technology Meeting with DB2」で「新段階を迎える情報マネジメント その現実と可能性」と題する講演を行い、データ統合に関するIT業界の現状とIBMの試みを語った。
 
 データ統合については、現在あらゆるソフトウェアメーカーが解決を急いでいる。8月にはBEAシステムズが、社内に散らばるさまざまな情報を吸い上げるソフトウェア「Liquid Data」を発表、早ければ第3四半期にも製品をリリースする。このソフトウェアは、あらゆるタイプのビジネス情報をあたかも1カ所に格納されているかのように検索し、閲覧することを可能にするという。

 マイクロソフトは、2003年後半にSQL Serverの新バージョン「Yukon(コードネーム)」をリリースする予定。Yukonは、複数のソースからデータを統合し、単一のデータベースに格納されているかのようにクエリーを実行可能になるとされている。この技術は、Windowsの次期バージョン「Longhorn(コードネーム)」にも搭載される予定である。

IBMのデータ・マネジメント・テクノロジの進化(クリックすると拡大)

 これに対して、IBMも黙っているわけではない。同社はDB2に搭載するデータ統合技術「Xperanto」をすでに発表している。マットス氏は、同社が25年前から研究、開発を行っているデータ統合技術の進化について触れ、「異なる環境、異なるアプリケーション、異なるインフラストラクチャ、異なるデータベースなど企業内に存在するありとあらゆるデータを統合し、検索可能にし、さらにどんなデバイスからも利用可能にする技術が必要とされている」と話し、IBMのファースト・プライオリティ事業であることを強調した。

 データ統合作業を支えるコア・テクノロジには、SQLおよびXMLを利用した標準APIが必要となり、連携・検索・キャッシュ・複製・変換などデータ統合にかかわる細かな基礎技術および、バックグラウンドにおけるメタデータの管理や開発環境の提供も関係してくる。

 Xperantoは、これら複数の技術を組み合わせて利用し、RDBMS、XML、フラットファイル、スプレッドシート、そのほかの情報ソースを1つのデータベースのように検索可能にする技術である。4月にはXML、XQuery、テキスト検索機能、Webサービスを利用して、銀行、金融サービスなどの企業の活用例をデモンストレーションとしてWeb上に公開した。現段階では、XQueryを除いて現行のDB2で利用可能である。

(編集局 谷古宇浩司)

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