[WPC EXPO 2002開催]
Tablet PC、7社の製品が出揃う

2002/10/17

マイクロソフトブースで各社が展示したTablet PC。手にとって試してみることができる

■大きなスペースをとるTablet PC

 デジタル関連の展示会「WPC EXPO 2002」が東京ビッグサイトで始まった。PCが展示の中心だが、ワイヤレス技術を中心にネットワーク関連機器製品も多く展示され、来場者の注目を集めた。19日まで開催。

 会場で最も多く来場者を集めていたのはマイクロソフトが出展したTablet PCのブース。NECや富士通などが、11月に発売する新製品や試作品を展示した。来場者はTablet PCを手にとって自由に試してみることができるようになっている。NECや富士通、東芝など各社のブースでも大きなスペースを取ってTablet PCを展示した。

 NECはマイクロソフトが提唱する「Smart Display」の対応製品を参考出展。製品はノートPCから液晶ディスプレイだけを外した形で、無線LANを使いWindows XPが動作するPCと接続する。離れた場所からPCにアクセスして、Webにアクセスしたり、アプリケーションを利用できる。来年1月にもNECが発売する。日本IBMはノートPCのThinkPadの発売10周年を記念して、これまで国内で発売されたシンクパッドの代表的な製品を展示。ThinkPadの将来のコンセプトモデルも展示した。

■サービスが広がるBluetooth

 各社が力を入れていたのがワイヤレス関連の製品やサービス。ブロードバンドのインフラを前提に、従来製品の機能を拡張する製品、サービスが目についた。東芝が展示したのはBluetoothを使ってPCやPDAとデータのやり取りをするコンパクトサイズのハードディスクドライブ「HOPBIT」。容量は5GBで、ポケットにHOPBITを入れたままノートPCやPDAでデータの交換が可能になる。東芝はHOPBITからワイヤレスでデータを受け取り、動画を再生する「Bluetooth Mobile Viewer」を参考出展した。PC、PDAとのデータ通信だけでなく、コンテンツ配信のモバイルサーバとしても期待できる製品だ。

Bluetoothを使い端末同士でデータ通信ができる「ワイヤレスP2P端末 Gadgety」。液晶に受信したデータを表示する

 Bluetooth製品では、クレスコがBluetoothを使い端末同士でデータの交換ができる「ワイヤレスP2P端末 Gadgety」を展示。イベント会場やショップなどでデータを配信して、Gadgetyの液晶に情報を表示させることができる。Gadgety同士でデータを送受信することが可能で、“口コミ”で情報が広がっていくという。Gadgetyは携帯電話と接続して、URLを携帯電話に送り込み、携帯電話からWebにアクセスさせることも可能となっていて、キャンペーンなどに利用できる。クレスコでは近く実験を始める予定だ。

 家庭のPCやオーディオ機器、テレビなどでさまざまな情報をやり取りできるようになるホームネットワーク製品も各社が力を入れている。ソニーはホームネットワーク「コクーン」に対応した製品を展示。テレビを録画できるチャンネルサーバ製品のデモを行った。富士通やNECも家庭で使え、PC内の情報を共有したり、離れた場所のPCでテレビが見られるようになるホームサーバ製品を展示した。

 携帯電話事業者はNTTドコモ、KDDIが出展していたが、新しい製品の発表などはなくコンテンツ配信サービスや、携帯電話を利用したソリューションの展示がメイン。KDDIはトヨタ自動車が始める自動車向けのコンテンツ配信サービス「G-BOOK」対応製品を展示した。携帯電話端末では、三洋電機が2.2インチで26万色フルカラーの有機EL液晶を搭載した携帯電話を展示。KDDI向けの端末と見られるが、発売時期は未定だ。三洋はそのほかにJ-フォン向けの第3世代携帯電話「J-SA001」を展示した。

■通信会社はCDN関連サービスを出展

 ネットワーク関連では、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)の展示が通信会社を中心に目についた。NTTコミュニケーションズは、CDNを使ってストリーミング配信や大容量ファイル配信を行うデモを行い、企業に対してコスト削減効果や利便性をアピールした。NTT東日本は、NTT東日本が構築した「地域IP網」を使い、大容量コンテンツの配信や蓄積を可能にする「パーソナルポータルサービス」を参考出展。地域IP網上にサーバを設置して、データの蓄積やサーバ同士でのデータの交換を可能にする。サーバ上で動画のサムネイル画像を作成したり、ストリーミング形式ファイルに変換することもできる。NTT東日本は、早ければ来年上半期にもサービスを開始する。

 セキュリティ関連では、仮想ネットワーク上で不正アクセスの攻撃、防御、検知をして、それぞれの技術の検証を競技を通して行う「セキュリティ・スタジアム2002」が開催。同時に過去に流行したコンピューターウイルスをPC上で実行させることができる「ウイルス博物館」や、設定したパスワードが何秒で解読されるかがわかる「パスワード脆弱度チェックコーナー」などがあった。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
WPC EXPO 2002

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