SAPのBIツールが急成長、その理由は?
2002/11/8
SAP ジャパンは、ビジネスインテリジェント(BI)ツール「SAP BW」の導入企業が国内で220社を突破し、年内に250社に達しそうだと発表した。SAP BWはERPツールの「SAP R/3」と連携させることで、社内外にある蓄積されたさまざまな情報を分析して、経営判断に役立つ有用な情報やレポートに仕上げる。国内でR/3を導入している企業は1000社で、4社に1社がSAP BWを導入することになる。
SAP ジャパンのプロフェッショナルサービス事業本部 BIソリューションズ部長 大谷泰宏氏 |
SAPのプロフェッショナルサービス事業本部 BIソリューションズ部長 大谷泰宏氏はSAP BWについて「経営者層、管理者層だけでなく社内のすべての層にタイムリーに情報を提供する」と説明。「R/3を導入した企業が次のステップとして経営情報を分析したいと考えて導入するケースが多い」と、その急成長の理由を説明した。大谷氏によるとSAP BWを導入している企業の大半は製造業で、連結会計に対応するために導入するケースも多いという。
SAPはSAP BWの導入事例としてミノルタの利用法を紹介した。ミノルタの財務管理本部 コーポレートIS推進室 浜田豊春氏は「1996年から日本、米国、欧州でそれぞれSAP R/3の導入を進めてきた。次の課題として連結会計経営や事業別の収益管理、在庫削減などが挙がっていた」とSAP BW導入前の状況を説明したうえで、「日本、米国、欧州の経営情報を統合し、情報を有効活用するためにSAP BWの導入を2000年から始めた」と述べた。
浜田氏によるとSAP BWを導入したことのメリットは3つあるという。1つ目は分析業務の効率が上がったこと。これまでは経営情報を手作業で分析して資料やレポートを作っていたが、SAP BWを使うことで作業が迅速になり、分析結果の検討に十分な時間を割けるようになったという。具体的には、月次決算が確定してから2〜3日かかっていた分析やレポート作成が、1時間でできるようになったという。
2つ目のメリットは経営者層と管理者層が同じ情報を共有できるようになったこと。これまでは管理者層が情報を持っていて、経営者層は情報が上がってくるのを待つだけだった。しかし、経営者層もSAP BWを生かすことで情報を入手できることになり、トップダウンの指示が増えたという。浜田氏は「情報を共有することで指示と報告が活性化し、会社のアクションが速くなった」とメリットを説明した。
浜田氏が説明したメリットの3つ目は、ミノルタが導入しているSCMツール「SAP APO」とSAP BWを連携させることで、市場動向予測が向上すること。ミノルタでのSAP APOとSAP BWの連携は来年1月から稼働する予定だが、高度な市場動向予測が可能になることで出荷の計画などがこれまでの月次サイクルから週次サイクルに短縮されることを期待しているという。
SAPの大谷氏によるとSAP BWの次のバージョン「SAP BW 4.0」は来年後半から再来年の初めに登場する予定。実績を積み重ねてきた製造業に加えて、金融業やサービス業、流通業など、ほかの業種へのアプローチ方法が課題になりそうだ。
(垣内郁栄)
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