SAPとIBMが連合し、オラクルに対抗

2002/7/25

 日本アイ・ビー・エムとSAPジャパンは7月24日、協業の強化を発表した。IBMにとってはデータベース、そしてSAPにとってはERP分野での共通の敵、打倒オラクルに向け、両社が一丸となりさらなる攻防をかける。

 米IBMと独SAPは昨年6月、世界規模での提携を結んでいる。今回の発表は、その中でも得に日本地域でさらなる関係の強化を図り、それを基盤にアジア地区に拡大していくというもの。7月24日、発表の席には両社日本法人の代表取締役社長に加え、独SAP 共同会長兼CEO へニング・カガーマン(Prof. Dr. Henning Kagermann)氏およびIBMアジアパシフィック プレジデント(兼日本IBM 代表取締役会長)北条恪太郎氏も列席するなど、両社ともに大きな期待を抱いた提携といえそうだ。

豪華な顔ぶれが揃った発表会。左から日本IBM 代表取締役社長 大歳卓麻氏、IBMアジアパシフィック プレジデント(兼日本IBM 代表取締役会長)北条恪太郎氏、独SAP 共同会長兼CEO へニング・カガーマン氏、SAPジャパン 代表取締役社長 藤井清孝氏。

 この日、両社が発表した協業内容は、ソリューション、サービス、ハードウェア、ソフトウェアなどの分野における協業の拡大。

・ソリューション分野
ERPを中核としてCRMやSCMなどソリューションを拡大、さらに顧客企業の産業分野や事業規模、地域のそれぞれの面でカバーレッジを拡大する。それにあたり、日本IBMでは、SAP専任のコンサルタントを現在の500名から年内に700名体制に拡充する。

・サービス分野
両社と三菱商事、アイ・ティ・フロンティアの4社が共同で設立したERP運用センターにおけるサービスメニューの拡大やホスティングサービスの強化や、IBMのサービス「AMS(アプリケーション・マネジメント・サービス)」におけるSAPサポートの強化を行う。

・ソフトウェア分野
SAPがmySAP.comの標準データベースとしてIBMのDB2を採用し、営業面、技術面で協力体制を敷く。日本IBMでは「SAP DB2営業支援チーム」「SAP DB2技術チーム」を設置し、SAPのデータベースとしてのDB2のシェア拡大を図る。また、運用管理のTivoli製品群についても組み合わせての販売などを推し進めていく。

・ハードウェア分野
SAPのプラットフォームとしてのIBM製サーバおよびストレージの拡販を強化する。日本IBM内には専任のチームも設ける予定という。

 日本IBM 代表取締役社長 大歳卓麻氏は、「“SAPのサービスインフラといえばIBM”といわれることを目指す」と今回の提携にかける抱負を語る。「ハードウェアやミドルウェアは極めて好調」という大歳氏は、今回の提携で想定されるDB2への効果を最も期待しているようだ。「SAP導入の際のデータベースとして、DB2のシェアがトップになることを目指す」、とオラクルを追い越す意志を示した。一方、SAPジャパン 代表取締役社長 藤井清孝氏は「包括的なソリューションを持つSAPと包括的なプラットフォームを持つIBMが提携する」と今回の提携を表現し、IBM・SAP連合軍でライバルとの競争に勝ち抜く自信をのぞかせた。また、シェアの低い中堅企業におけるシェア獲得に向けても今回の提携を生かしていくという。

(編集局 末岡洋子)

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SAPジャパン
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