[OracleWorld 2002開催]
グリッド・コンピューティングは、「われわれのコアバリュー」
2002/11/15
オラクルは、主力データベースベンダとしての意地をかけて、グリッド・コンピューティングと向き合っている。11月13日、プレスブリーフィングに現れた米オラクル 分散コンピューティング担当副社長 ベニー・サウダー(Benny Souder)氏が、この新しいコンピューティングモデルへの同社の取り組みの現状を語った。
グリッド・コンピューティングは、あるサービス要件を満たすため複数のコンピュータノードを共有/選択/集約して実行する分散システムのスタイルだ。クラスタシステムと似ているが、クラスタシステムはノードを管理するリソースマネージャが中央に集中しているのに対して、グリッド・コンピューティングはノードそれぞれが固有のリソースマネージャを持つ点が異なる。
既存のコンピュータリソースを経済的に活用できるからか、近年、多くのITベンダがグリッド・コンピューティングに関心を示しており、ちょっとした人気“バズワード”になっている。しかしサウダー氏は、「オラクルにとってグリッド・コンピューティングは、ファッションではない。時間をかけて調査した結果見いだしたコアバリューそのものだ」と強い調子で語る。
「今日、コンピューティング環境はもはやユーティリティとなりつつあり、顧客からすればシステムがバックエンドでどう動いているかなど関係ない。グリッド・コンピューティングを利用すれば、より速いデータベースが、より少ないコストと高いエンジニアリング効率で手に入る。これによってわれわれは他のデータベースベンダに比べて高い競争優位性を獲得できるし、われわれの顧客もまた競合企業に先んじることができる」(サウダー氏)
このグリッド・コンピューティングを実現するためにオラクルが提案するのが、Oracle9i Real Application Cluster(RAC)、ブレード・サーバ、Linuxの組み合わせだ。1つあるいは複数のCPUとメモリ、ハードディスクを積んだボード状のブレード・サーバの上で、新しい共有キャッシュアーキテクチャを持ったOracle9i RACを動かすことができる。これまで、高いピークタイムを持つオンライン・ショッピングサイトなどでは、予想されるアクセス数に合わせてSMPクラスタシステムを設計しなければならず、平常時はCPUを遊ばせる結果となっていた。
しかし、ブレード・サーバならアクセスの増加に合わせてホットスワップで次々に枚数を追加していくことができ、ピークを過ぎれば外せばいい。サウダー氏によると、この方式だとSMPクラスタシステムを利用するより、ハードウェア価格はCPU当たり80〜90%安くなるという。加えてOracle9i RACも新しいLinuxバージョンを利用すれば、さらに低いコストで高い性能のサーバ環境が手に入るというわけだ。また、Oracle9i RACで構築されたSMPクラスタシステムであれば、シングルコードベースであることから、アプリケーションを書き直すことなくグリッド・コンピューティング環境に移行できるという。
展示会場では、Egenera社がOracle9i RACに対応するブレード・サーバ「BladeFrame」を出品していた。同社のブレードはCPUとメモリのみを持つタイプ。1枚に最大4個のIntel Xeonプロセッサを搭載することができ、スタックされたブレードを統合管理できるGUIベースの管理ツールが用意されている。日本でもCTC(伊藤忠テクノサイエンス)を通じての販売が決定している。
Oracle9i RACに対応するブレード・サーバEgenera社の「BladeFrame」に搭載するブレード |
サウダー氏は、「米国では、昨年から顧客の間ではグリッド・コンピューティングの実装を検討したり、パイロット版で動かしたり、本番稼働に入ったりという動きが始まっている。このコンピューティングモデルには大きな魅力がある。経済的でありながら、重要な用途でシステムを利用できるからだ。グリッド・コンピューティングによってシステムのユーティリティ性は増し、より高いビジョンが実現できる。これは来たるべき流れであり、これはもう誰にも止められない」と述べた。
(吉田育代)
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