[eWEEK] オラクルがJava IDE拡張標準を後押し
2002/12/3
November 18,2002 Darryl K Taft
オラクルは先週、標準ベースの拡張機能をあらゆるJava統合開発環境(IDE)に対応させる、新しいAPIのJava
Specification Request(JSR)をJava Community Process(JCP)に提出したと発表した。
同社のアーキテクト兼アプリケーション開発ツール戦略ディレクターのTed Farrell氏は、「JSR198 The Standard Extension
API for Integrated Development Environments」が正式に承認されれば、デベロッパの開発負担は大幅に軽減するだろうと話す。
Farrell氏は、カリフォルニア州レッドウッドショアズで、「ボーランドやオラクル製品からウェブゲイン、NetBeansまで、開発の現場には多数の技術が存在する。しかし、どれも例外なくデベロッパが、IDEごとにアドインのバージョンを複数用意しなければならない。一方、このAPIさえあれば、拡張仕様を1度書くだけで、どの標準Java
IDEにも対応させられるようになる」と優位性を強調した。
Farrell氏によると、オラクルはほかに、同仕様の一部として提出できる技術を持っているが、まずはこの技術の概念の普及を推進し、関心を示す企業各社とは、仕様のさらなる開発に向けて協力を進めていくという。現段階では、サン・マイクロシステムズ、マクロメディア、そしてJetBrainsが同JSRのサポートを約束している。
マサチューセッツ州ボストンに本社を置くJavaコンサルティング会社 JZ Venturesの社長John Zukowski氏は、「この専門家グループにどの企業が出てくるか楽しみだ。初期段階で支持表明をしている企業にボーランドやIBMの名前がないのは惜しいが、拡張機能を開発しているベンダにとっては、標準ならば何でもありがたいものだ」と好意的な反応を示している。
Zukowski氏はJalopy(オープンソースのJavaソースコードフォーマッタ)を例に出し、“標準のありがたさ”を説明する。「Jalopyには、異なるIDEに対応するツール構築のために、7種類もの異なるバージョンのアドインツールが必要になる。ツールのサポート対象を拡大するのではなく、ツールの機能拡張の方に時間を使う方が有益だと思う」(Zukowski氏)。
JSRプロセスは1つの仕様を完成させるまでに、一般的には6カ月から2年がかかるが、提案中の仕様をサポートする技術がすでに存在するため、このJSRが「短い方の前例に近い時間で処理される」ことをFarrell氏は期待しているという。
一方Farrell氏は、オラクルがIBM主催のEclipseオープンソースアプリケーション開発プラットフォームの「Board of Stewards(幹事会)」に加盟したことも明らかにした。
「Oracleランタイム用のソフトウェア開発環境をEclipseユーザーが確保できるようにしたい。われわれはJavaコミュニティで高い信頼を得ており、数多くのプログラミング環境をサポートしている。われわれはEclipseユーザーがOracleプラットフォームで開発を行う際にも同様のメリットを提供したいと考えている」(Farrell氏)。
皮肉にも、サンが運営するJCPにオラクルが提出したJSR198は、ボタンやダイアログなどのGUIアプリケーションのパーツ作成で「AWT」(Abstract
Windowing Toolkit)や「Swing」といったJava標準コンポーネントをベースにしている。ところがEclipseは、AWTと競合する「Standard
Widget Toolkit」という別のGUI開発プラットフォームをサポートしているのだ。
Eclipse幹事会でオラクルの監事を務めることになるFarrell氏は、その点に関しては問題ないとし、「オラクルは幹事会に新たな視点を持ち込むことができる」(Farrell氏)と反論している。
Forrester ResearchのアナリストJosh Walker氏は、オラクルによる2つの発表は相関関係があると考えている。
Walker氏によると、オラクルがEclipseのサポートを表明することは「Oracleデベロッパにとって非常に見通しの明るい動き」だが、「オラクルはIBMとブランド戦争を繰り広げており、IBMにここまで歩み寄ることは同社にとってあまりよいことではない可能性もある」と指摘する。つまり、「JSR関連の動きは、オラクルが“Eclipseもサポートするが、標準的な手法(Java)もサポートする”と言っているようなものだ」とオラクルの動きに不可解さを感じているという。
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