IBMが語るオートノミック・コンピューティングの未来
2002/12/10
12月9日、IBMでオートノミック(自律)・コンピューティング事業の責任者を務めるアラン・ガネック(Alan G. Ganek)氏が来日、記者会見を行った。ガネック氏はオートノミック・コンピューティングを、「システムにインテリジェンスを持たせる仕組み」と簡潔に表現し、エンドユーザーにとっては、「迅速な(システムの)回復力、迅速な(新機能の)導入、ROIの向上」という3つの価値を提供する次世代コンピューティングのあり方、だと説明した。自己管理機能を備えるとされるこの概念は、「自己構成」「自己修復」「自己最適化」「自己防御」の4つの要素で構成され、すでに、同社の製品に実装され始めている。
IBM Autonomic Computing Vice President アラン・ガネック(Alan G. Ganek)氏 |
11月5日には、企業プラットフォーム・システム管理ソフトウェア群「Tivoli」の機能強化とラインアップ拡充を発表、オートノミック・コンピューティングの機能強化を行った。「Tivoli Configration Manager V4.2」でリソースやデバイスの構成変更を自動的に管理し、ソフトウェアの自動的な配布を実現した。これは、オートノミック・コンピューティングの自己構成を具現化した機能であった。
そのほか、ストレージ、サーバ、データベース、コラボレーションツール、アプリケーション・プラットフォーム、クライアントなどの製品群でも「オートノミック・コンピューティングの機能が搭載されている」(ガネック氏)とし、すでに実用化段階に入っていることを強調した。
より具体的な事例として、ガネック氏は、DB2の「Configuration Advisor」を紹介した。Configuration Advisorは、データベースの最適な構成設定を支援する機能で、「最高のスキルを持った人材によるデータベースの設計と同等以上のパフォーマンスを提供できる」という。配備のスピードアップにつながるだけではなく、「ある金融機関が採用したところ、データベースのスループットは2倍に向上した」(ガネック氏)。
オートノミック・コンピューティングの進化は5段階に分けられる。すなわち、レベル1が「基礎」で順次、「管理」「予測」「適応」「自律」のキーワードで表現される。現段階で同社の顧客が採用しているのはレベル2「管理」に準拠する製品であり、代表的なソリューションとしては、Tivoliを管理ツールとした体系となるだろう。「しかし、先進的な取り組みを始めている企業はレベル3のソリューションを一部採用している」(ガネック氏)とし、「IBMとしては、レベル4の製品群を市場に投入すべく、研究・開発を行っている段階」だとする。
とはいえ、レベルが段階的に進みながら、顧客への導入が進むわけではない。製品ごとに搭載されるオートノミック・コンピューティングの機能は多岐にわたり、レベルの段階も多様だというのが実情のようだ。Tivoliには、入力されたデータからビジネスのインパクトを自動的に判断し、システムを自律的に管理する「Business Impact Management」という機能があるが「これはすでにレベル5の段階に達している」(ガネック氏)という。
(編集局 谷古宇浩司)
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