「WebSphere V5.0」登場、Webシステムの自律化へ一歩前進
2002/11/22
常務取締役 ソフトウェア事業部長 堀田一芙氏(左)とソフトウェア事業部 WebSphere事業推進部 部長 大古俊輔氏 |
日本IBMは11月21日、J2EE1.3対応のWebアプリケーションサーバ製品群「WebSphere」ファミリのラインアップを拡充したと発表した。製品群の基本製品である「WebSphere Application Server(以下WAS)」は5.0にバージョンアップした。
WAS V5.0の特長は、オートノミック・コンピューティング対応機能の強化にある。「自己構成」機能により、動作中でも自分自身を構成していくことのできるようにシステムが設計されており、「自己修復」機能では、自動的に問題を検出し、解決を行うことがおおよそ可能になった。例えば、かつての汎用機では当たり前に搭載されていた、エラーを引き起した最初の原因追及を可能にする機能や、Tivoliのパフォーマンス・ビューアによるJMX(Java Management eXtension)ベースのパフォーマンス・モニタリングが追加されている。また、「自己最適化」機能として、サーバのスペックを自動的に判別し、負荷の重み付けを可能にするWorkload Managementやコンテキストにより、同一のEJBが非同期で振る舞うように設定できるApplication Profilingなどを搭載した。さらに、「自己防御」機能において、システム構成値のしきい値を指定可能にし、認証されていないアクセスから自分自身を守るようにできる。
WAS V5.0のほか、今回同社が発表したのは、複数のサーバによる分散環境に対応し、クラスタリング、ワークロード管理、フェイルオーバー機能を提供する「WAS Network Deployment V5.0」とWebサービス機能を強化し、J2EEではカバーできないエンタープライズ用の拡張機能を搭載した「WAS Enterprise V5.0」、WASの機能を絞り込み、中堅企業にターゲットを絞った低価格版「WAS Express V5.0」である。このうち、WAS Enterprise V5.0とWAS Express V5.0は開発表明を行っただけであり、発売日などは未定である。
オートノミック・コンピューティング機能の強化といううたい文句のほかにも、今回の発表では、グリッド・コンピューティング、オンデマンド コンピューティングなどの言葉がWebSphereを取り巻くキーワードとして飛び出した。常務取締役 ソフトウェア事業部長 堀田一芙氏は「即応性、柔軟性、集中化、回復力という4つの特性がオンデマンド・ビジネスには必要不可欠。WebSphereはその中核を担うソリューションだ」とし、ソフトウェア事業部 WebSphere事業推進部 部長 大古俊輔氏は、「グリッド・コンピューティングの実行環境として、WebSphereは重要な位置を占める」と、それぞれの立場で、WebSphereの重要性を最新のキーワードと関連させて説明した。
(編集局 谷古宇浩司)
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