[HP WORLD 2003]
最悪の嵐の中からチャンスを見出せ、HP
2003/4/23
米ヒューレット・パッカード Exective Vice President、Chief Technology and Strategy Officer シェーン・ロビソン氏 |
日本ヒューレット・パッカード(以下日本HP)が開催した合併後初のHP WORLDのテーマは「日本の元気を考える2日間」。冒頭、ひな壇に立った日本HP
代表取締役会長兼CEOの寺澤正雄氏は「現在、日本の全産業は元気を失っている。しかし、沈んだ今こそチャンスがある。われわれ産業界が元気を出さなければ、日本の復活はない」と檄(げき)を飛ばした。
2日間に渡って行われる今回の「HP WORLD 2003」のスピーカー陣は寺澤氏曰(いわ)く「元気のあるスピーカーばかり」。IT業界の特性からか、“外資系企業”の日本人スタッフが多く名を連ねる。当然日本HPも純然たる外資系企業だ。“日本の元気を考える”うえで、米国の最新テクノロジを背負う人々が、日本IT業界の蒙(もう)を啓(ひら)く役割を担うことは、今や当然すぎるほど当然の結果となっている。
しかし、市場の構造はいまだ“旧態依然”とした体制を保っているようだ。寺澤氏は「官公庁が有するメインフレームの数は、日本全体の約40%を占めている。今ではレガシーと化したメインフレームをオープンに移行させなければならない。製造業にしても同じ。完璧なグローバリゼーション・システムへの移行が急務」と強調することからも、市場構造のレガシーさに歯がゆい思いをする寺澤氏の心境がうかがえる。
これまで、政府調達をはじめとしたかつてのメインフレーム市場は、国内企業による独占状態が続いていた。その構造が徐々に崩れ始めてきたとはいえ、外資系企業にとってはまだ厚い壁なのだろう。寺澤氏が、そのような国内市場の旧弊を打ち破る先鞭(せんべん)をつけたいと望んでいてもおかしくはない。外資系IT企業の雄、日本IBMでさえも苦しんでいるこの課題に対し、果敢な挑戦を行う意思を、寺澤氏は見せたのだった。
寺澤氏のこのような挑戦を支えるのは、HPを代表とした米国IT企業がイニシアティブを握るIT技術の先進性だろう。米ヒューレット・パッカード Exective Vice President、Chief Technology and Strategy Officer シェーン・ロビソン(Shane V.Robison)氏の講演は、HP全体の戦略を語ったものだが、その骨子は、HPの戦略がいかに先進的かつオープンな技術を基礎としているか、そのような先進的技術に対して、HPがいかにコミットメントをしているかにある。そして、HPが自負する技術的な優位性を、エンタープライズ市場向けであれば「ROIの向上、資産の有効活用、迅速な経営といった具体的なソリューション(解決策)として提示」(ロビソン氏)し、コンシューマ市場向けであれば「使いやすく、シンプルで、便利な製品として変換」(ロビソン氏)することで、市場シェアを拡大していく道を取るのである。
日本国内のみならず、米国でも「ITを取り巻く市場環境は厳しい」(ロビソン氏)。少し前なら、2001年9月11日の米国同時多発テロ、最近では米国によるイラク攻撃の影響は、「市場に深刻な影響を与えている」とロビソン氏は言う。さらに同氏は、「まさに世界規模で、未曾有(みぞう)の災厄(さいやく)に見舞われていると言っても過言ではない」とし、その災厄を映画のタイトルから採って、「The
Perfect Storm(パーフェクト・ストーム)」と表現した。
日本国内でも米国でも経済状況の厳しさは変わらない。この状況を覆(くつがえ)す1つの処方箋(しょほうせん)がITであり、HPであると強烈にアピールするのが、HP
WORLD 2003のテーマなのかもしれない。
(編集局 谷古宇浩司)
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