「エンタープライズモバイルを実現する」、SAPの新プラットフォーム

2003/4/25

 SAPジャパンはWebサービスを活用し、PDAなどのモバイル機器を使ってERPなど企業の基幹システムにアクセスし、情報を共有できるようにするプラットフォーム「SAP Mobile Engine 2.1」(モバイル・エンジン)を発表した。インターネットに対応した携帯電話の普及などモバイル環境は整ってきているが、企業情報システムでの本格的な活用は、通信料金などの課題もあり、まだまだ。SAPでは「エンタープライズモバイルを実現する」と意気込んでいる。

 モバイル・エンジンは、モバイルデバイスにインストールするアプリケーションと、「SAP R/3」や「SAP CRM」に導入するモバイル・エンジン サーバコンポーネントで構成。モバイルデバイスにインストールするアプリケーションはJavaで記述されWebベースで動作。サーバ側とのやりとりはHTTPSで行われる。データ自体はXMLデータとしてSOAPで送信。アプリケーションはオフラインでの利用が可能で、サーバに接続した際にデータを更新、同期を取る仕組みになっている。

SAPジャパンのバイスプレジデント マーケティング本部長兼ソリューション本部長 玉木一郎氏

 SAPは今年中に9本のアプリケーションを提供する予定。業務別に営業スタッフがCRMのデータを確認できるアプリケーションや、フィールドエンジニアが製品情報や修理履歴を参照できるアプリケーション、勤怠・旅費管理、購買発注などのアプリケーションを提供する。業務別だけでなく、製薬や公益、小売りなど業種別のソリューションも提供する。

 SAPジャパンのバイスプレジデント マーケティング本部長兼ソリューション本部長 玉木一郎氏は、企業でのモバイル利用について「既成のフレームワークがなく、アプリケーションを手作りする必要がある。モバイル開発者に基幹システムのノウハウがなく、基幹システム開発者にはモバイルのノウハウがない」と指摘。「アプリケーション別、業種別のシナリオを開発し、基幹システムと一体の統合インフラを提供する」と、モバイル・エンジンをアピールした。SAPは、モバイル・エンジンで初年度に20社、今後3年間で150社の採用を目標としている。

(垣内郁栄)

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