「EAIではなく複数システムのプロセス管理」、SAPが新ツール

2003/4/4

 SAPジャパンはビジネスプロセスの統合ツール「SAP XI2.0」の出荷を開始したと4月3日、発表した。SAP XIは、SAPやほかのベンダのシステムを統合するEAI(Enterprise Application Integration)分野のツールだが、SAPでは「単にシステムをつなぐのではなく、ビジネスプロセスを複数システムにまたがってマネジメントするツール」と強調している。

 SAP XI1.0は欧米で昨年4月にプロトタイプ的に出荷。2.0は初めての日本語版になる。XIで統合できるのは、SAPのR/3やCRMなどの製品のほかに、オラクルやシーベル、バーン、ピープルソフトなどのビジネスアプリケーション。システムの統合にはアダプタを使用し、SOAPやJDBC、HTTP(S)、ロゼッタネットなどオープン系のアダプタを用意する。他社製品などXIとの統合を前提に作られていないシステムでも、SOAPに対応していれば統合が可能になる。

SAPジャパンのバイスプレジデント マーケティング本部長兼ソリューション本部長 玉木一郎氏

 XIは、XIがシステムのハブとなるアーキテクチャを採用し、各システムがXIにそれぞれ接続する仕組み。社内システムのほかに、関連会社や取引先企業のシステムを統合可能となっている。SAPジャパンのバイスプレジデント マーケティング本部長兼ソリューション本部長 玉木一郎氏は、オープンなインターフェイスを採用することについて、「統合情報を集中的に開発、更新し、個々のシステムでのインターフェイス開発のコストを削減できる。XIが主軸となってマルチシステム間の統合が可能だ」とメリットを強調した。

 XIには、統合の前段階として企業システムのプロセスをモデル化する機能もある。システム間のビジネスプロセス設計やメンテナンスをGUIベースのツールで実行でき、統合のための基本デザインを構築できる。モニタリング機能もあり、システムの連携状況を集中的に監視可能。トランザクションがどの処理まで進んだかを記録し、エラー発生時の再処理も対応している。

 XIのソフト価格は1200万円から。玉木氏は「ターゲットは大企業のSAPユーザー。システム統合をビジネスの面からサポートしたい」と述べた。SAPでは、初年度に20社への導入、3年間で150社以上の導入を目指すという。企業の合併や統合によるシステム統合需要のほかに、Webサービスの普及によるシステム連携ニーズの高まりにも期待しているという。

(垣内郁栄)

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SAPジャパン

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