「物量作戦でいく」、SAPがCRM新版を積極営業
2003/2/27
SAPジャパンはmySAP CRMの最新版「SAP CRM3.1」を5月末に出荷開始すると発表した。ポータル機能を強化したのが特徴で、SAPでは「SAP CRM3.1でCRM市場でナンバー1になる」と意気込む。
SAPジャパンのCRM ビジネス・ディベロップメント ディレクター 三村真宗氏 |
新バージョンでSAPが目指したのは「People Centric CRM」(人を中心としたCRMソリューション)。強化されたポータル機能では単にWebをフロントエンドに使っただけでなく、ユーザーの役割に応じて、顧客との取引や満足度向上に必要な情報を見せることができる。もちろん、SAPのほかのシステムと情報を統合することが可能。SAPジャパンのCRM ビジネス・ディベロップメント ディレクター 三村真宗氏は「人中心のポータルだ。どのシステムを使っているかを意識せずにポータルに情報を集約することができる」と説明した。ポータルのカスタマイズも柔軟性があり、業務プロセスの変化などに迅速に対応できるという。
SAP CRM3.1はパートナー企業向けのポータル機能も強化。パートナー企業に対して、ポータルを通じて新製品情報や販促用資料、プロモーション、企業ニュースなどの情報を提供し、パートナー企業のマーケティング戦略や販売、受注プロセスを効率化できる。パートナー企業に寄せられたエンドユーザーからの障害情報や修理、パンフレットの請求などの情報をダイレクトに受け取ることができるよう情報共有機能を強化した。
モバイル対応強化も新バージョンの柱だ。新たに追加されたのは、CRMのデータをPDAでオフライン利用できるようにしたこと。PDAでデータをダウンロードした後に必要な作業を行うと、次回CRMに接続した際にデータが同期される。PDA用のモバイルエンジンはJava VMで作られているため、Pocket PCやシャープのLinuxザウルスなどJavaに対応するPDAならOSを問わず利用できる。SAPでは「モバイル環境で利用できないCRMは、CRMとは呼べません」としている。
SAP CRM3.1の出荷は5月末だが、SAPによるとすでに国内の化学製品卸売業の1社でシステムが稼働している。シャープなど計3社では導入作業が進んでいるという。SAP CRMは前バージョンが2002年度に国内で26社に採用され、14社で稼働している。SAPでは新バージョンのSAP CRM3.1で、2003年末までに30社以上の受注を目標としている。
SAPがこれまで採ってきた戦略は、ERPで大きなシェアを持つSAP R/3を導入している企業に対して、SAP CRMを勧めること。SAPによると「R/3を導入している企業でCRMの需要があれば、SAPに必ず声がかかるようになった」という。だが、SAP CRM3.1の販売では、この戦略に加えて、R/3が導入されていない企業に対してSAP CRMを単体で導入することを勧めていくという。今年は45のセミナー開催を予定していて、「物量作戦でいく。CRMベンダとして認知度拡大を目指す」(三村氏)としている。
(垣内郁栄)
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