「Windows Server 2003で投資効果を最大に」、MSバルマー氏

2003/4/26

 米マイクロソフトは4月24日(米国時間)、同社のフラグシップであるサーバOS「Microsoft Windows Server 2003」を全世界に向けて出荷した。同製品は、以前は「Windows .NET Server」という名称が付けられていたことからも分かるように、マイクロソフトが提案する.NET Frameworkを標準でサポートした初のOSとなる。.NET対応の開発ツールである「Microsoft Visual Studio .NET」がすでにリリースされていることからも、同社にとって待望のプラットフォームの誕生となった。

「Do more with lessと二律背反の課題を同時に実現するのがWindows Server 2003」と強調するバルマー氏(右)

 今回の製品出荷に合わせ、米マイクロソフトでは「The Windows Server 2003 and Visual Studio .NET 2003 Launch Event」なる披露目式を、米カリフォルニア州サンフランシスコ中心部にあるBill Graham Civic Auditoriumにて開催した。基調講演の中で同社CEOのスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏は「経済が低迷する中、ITマネージャは新しい挑戦に迫られている。それは単にコストを低減するだけでなく、投資効果をさらに引き出すことである。この挑戦(Do more with less)を最大限にサポートするのがWindows Server 2003だ」と述べた。

 その理由として同氏が挙げたのが、パフォーマンスの大幅な向上だ。1996年の時点で3904tpmCだった性能は、現在のItanium 2+Windows Server 2003システムでは51万4034.72tpmCと、130倍近い性能向上を実現している。その結果、tpmC当たりにかかるシステム導入コストは10分の1まで低減しているという。さらに、米シーベル・システムズのベンチマークテストを例に挙げ、Itanium 2を採用したユニシスのWindows Server 2003+SQL Server 2003のシステムでほかのUNIXマシンを追い抜き、No.1の地位を得たことを強調した。

 また、管理能力の向上とコラボレーション機能の追加などで、コスト低減とチームの作業能率向上も実現できるという。同氏は、サーバ統合、セキュアなアクセス機能、管理の自動化などで、システム効率を最大30%アップできるようになると説明する。また、ファイルのリカバリ機能やSharePoint Servicesによるグループウェア機能などで、単なるファイルシェアにとどまらない、チームの作業効率のアップが実現できるとする。

 バルマー氏は、今回のもう1つの主役であるVisual Studio .NETについても触れた。Visual Studio .NETで構築されるアプリケーションは、J2EEで構築されたアプリケーションよりも2倍の性能を実現し、6分の1のコーディング量で済むと、性能と生産性の高さを強調する。また、UNIXアプリケーションのマイグレーションツールの提供など、アプリケーション・プラットフォームとしての汎用性の高さを説明した。

 マイクロソフトの5000人以上の技術者が何年にもわたって努力してきた結果が、ようやく実現した今回のWindows Server 2003。業界の期待は大きいが、課題も多い。その1つが、開発者に.NETへの移行を促すことだ。同社がどんなに.NETでの生産性の高さを強調しても、そこに開発者がついてこなければ意味がない。過去のアプリケーション資産をすべて継承する汎用性の高さが同社製品の魅力でもあるが、それが新プラットフォームへの移行の意義を見いだせない理由でもある。

 新サーバOSの出荷はスロースタートになることが予想されるが、それを払しょくできるかは、いかに開発者やパートナーの協力を得られるかにかかっている。

(鈴木淳也)

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