同社初のテラバイト級NAS、アイオメガ

2003/5/23

「Iomega NAS P850m」(縦でも横でも配置可能)

 アイオメガは5月22日、NAS市場で同社初のテラバイト級Windows Powerd OS搭載製品を発表した。新製品は、企業向け製品「Iomega NAS P800m/P850m」。100万円後半から200万円台の価格帯で、最大1.44テラバイトのネットワークストレージ環境が構築できる。フォルダやファイル単位でのクライアントバックアップを実現する同社独自のバックアップソフト「Iomega Automatic Backup」を標準装備している。

 ZIPドライブを始めとするリテール向けストレージ製品を中核に成長してきた同社だが、「1998年をピーク」(日本法人代表取締役社長 鈴木裕司氏)に収益構造が変化している。もともとZIPドライブの開発、販売から設立された同社だけに、売り上げの90%以上をZIPドライブ関連機器が占めていたが、現在では「70%程度」(同)になっているという。特に、日本市場ではMOドライブの人気も高く、欧米と比較して、ZIPドライブ関連ビジネスの売り上げは低下傾向にある。

 米アイオメガ 副社長のジム・ペイン(James Payne)氏は「リテール市場でのリーダーからSMB(Small Medium Business)市場のリーダーへと転換していく」とし、同社のビジネスモデルを少しずつ変化させていくことを示唆した。しかし、ZIP、CD-Rドライブといったリテール向け製品から撤退するわけではなく、同社としては、ビジネス領域を拡大し、収益の柱を新たに構築するというニュアンスを含ませた。
 
 ドライブ製品のビジネスは、メディアという付加価値の高い付属製品の販売により、リピーターを生み出し、高い収益性を上げることが可能なビジネスでもある。ZIPドライブの場合、アイオメガの独自製品という特徴もあり、ほかのドライブのメディアと比較して、高い利益率を確保できるというメリットがある。世界で約5500万台というインストール実績を持つZIPドライブのチャネルとZIPディスクによる長期収益が見込めるビジネスモデルによって、4億6100万ドルのキャッシュを有する同社が、これまで培ったきたストレージ製品のノウハウを、市場拡大が見込めるNAS市場に注ぐことで、市場環境の変化にいち早く対応したいという思惑があるようだ。

 なお、同社にはNAS製品の従来シリーズであるSMB(中小企業)向けの「Iomega NAS P4xxシリーズ」およびSOHO向けの「Iomega NAS A3xxシリーズ」の新製品も発表した。

(編集局 谷古宇浩司)

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