研究者からビジネスマンへ、データマイニングがより身近に
2003/6/19
seugi21_vienna2003会場は盛況 |
6月17日(現地時間)、オーストリア・ウィーンでSAS Institute(SAS)のユーザー会「seugi21_vienna2003」(以下、seugi)がスタートした。参加人数は約2000人。2002年に比べ、企業のマネージャクラスの参加者が増え、全体の36%を占めた。一般ビジネスマンもデータマイニング技術に高い関心を寄せるようになったようである。SAS関係者は、「以前は(SASの製品は)学術研究者や技術者など、ごく一部の人だけのものだったが、ビジネスソリューションとして広く認知され始めている」と話す。参加者のプロフィールは、社長クラスが対前年度比で4%から7%に増加、取締役を含む経営層も14%から22%に増えた。なお、6月5日に東京で開催したプライベートカンファレンスでも、一般ビジネスマンの参加者が大幅に増えたという。
開催にあたり、SASの最高経営責任者兼代表取締役社長のジム・グッドナイト(Jim Goodnight)氏は、「SASには、実際のシステム導入や顧客企業のビジネスを成功に導くための技術力・開発力が備わっている。このseugiで、そうした成功企業のケーススタディを体感するとともに、新しく発表されるSASテクノロジの優位性を見てもらいたい」と、力強く語った。
SASの最高経営責任者兼代表取締役社長のジム・グッドナイト氏 |
発表されたケーススタディはバラエティに富んでいた。以前は、データマイニング技術をベースにした経営/財務分析、財務分析、与信管理、CRMなどが個別ソリューションとして存在していたが、現在は「Intelligent Enterprise」というコンセプトの下、企業内に蓄積されている生のビジネスデータを“インテリジェンス”まで昇華するプロセスを支援している。また、企業活動を「組織」や「経営」、サプライチェーンやCRMなどの「ビジネス活動」といった観点からとらえ、各分野に特化したテンプレートを「ソリューション」として用意している。これに加え、業界特有の個別課題にフォーカスしたテンプレートを「xIS(Intelligence Solution:xは業界名)」というパッケージの形で提供している。例えば、先に発表された「SAS Telecommunication Intelligence Solution」は、通信業界に特化したさまざまなソリューションテンプレートの総称だ。従来は統計解析の専門家のものだったデータマイニングが、ビジネス分野で“こなれて”きたのも、「今回発表するような、世界中のユーザー企業のあらゆる取り組みが元になっている」(SAS Institute Japan マーケティング本部 マーケティングコミュニケーション部 マネージャ 平尾正裕氏)とのことだ。
具体的には、バランスト・スコアカードや優良顧客のセグメント、IT資産管理、生産工程における品質管理への適用など、計240以上のセッションを開催する予定。変わったところでは、「テキストマイニング技術を応用し、ガイドブックなどに載っているレストランのクオリティを予測、評価する」といった旅行業界向けのケーススタディも発表する予定である。
アジア・パシフィックを担当するSAS International社長のアート・クック(Art Cooke)氏は、「より高い効果を出すには、ビジネスインテリジェンスを実現するプロセスそのものをしっかり確立する必要がある」と述べ、SASが提唱する「SAS Intelligence Value Chain」について言及。具体的には、企業戦略から分析データを利用するまでのプロセスを「Plan」「ETL」「Intelligent Storage」「Business Intelligence」「Analytic Intelligence」の5つに分け、各プロセスに合致した製品を提供していく方針を述べた。
注目製品は、SASシステムの新バージョン「SAS 9.1」と、新たに投入するETLツール「SAS Enterprise ETL Server」。クック氏は「どんな優れたツールでも、元となるデータの品質が低ければ意味がない」と断言し、「SASは分析システムにおいて、データ統合、品質から実際の活用までのプロセスを一貫して提供する唯一のベンダだ」と、他社との差別化を明確にした。このほかにも、マーケティング/キャンペーン管理の「SAS Marketing Optimization」、「SAS Interaction Management」の発表を予定している。
会場には、カンファレンス開催地となったウィーン市の市長Dr. Sepp Rieder氏が訪れ、集まった2000人の前で「データ分析は企業のみならず、公共分野にとっても注目に値する技術」と述べ、seugiの開催を歓迎した。そして「ウィーン市庁舎は、市民にあらゆるサービスを提供している。サービスの満足度や実際の公務員の活動状況を的確に把握し、よりよい公共サービスを提供していかなくてはならない」とコメントした。
(編集局 岩崎史絵)
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