超高速コンピュータ網形成プロジェクト「NAREGI」とはなんだ?

2003/7/2

国立情報学研究所 客員教授 三浦謙一氏

 文部科学省国立情報学研究所は7月1日、超高速コンピュータ網形成プロジェクト(National Research Grid Initiative:通称NAREGI「ナレギ」)の進捗状況を解説する記者会見を開催した。

 NAREGIは、グリッドの研究開発、システムの実証研究開発、評価を5カ年計画で進める産官学の連携プロジェクト。予算は2003年度で20億円を確保している。国立情報学研究所内に「グリッド研究開発拠点」を設置し、岡崎国立共同研究機構分子科学研究所内にある「計算科学研究開発拠点」と共同で、ナノ分野を中心とした計算科学の研究開発やグリッド環境の検証を行う。また、産業技術総合研究所、東京大学物性研究所、などともアプリケーション開発などで協力をしていく。

 開発したグリッド向けアプリケーションは、オープンソースとして一般に公開する計画で、プロジェクトが終了する2007年時点でのグリッドの処理能力は、プロジェクトリーダーである国立情報学研究所 客員教授 三浦謙一氏によると、「100テラフロップス程度」だという。

 この100テラフロップスという処理能力は、1つのグリッドの処理速度としては、決して低い数値ではない。現在、地球で最も強力な処理能力を誇るグリッドシステム「地球シミュレータ」は約40テラフロップスの能力を持つ。「問題は、処理能力の拡大ではなく、インフラ上で動くアプリケーションが果たして、有効なものかどうかである」と三浦氏は言う。NAREGIで行うグリッドの実証研究は「機能性ナノ分子」「ナノ分子集合体」「ナノ電子系」「ナノ磁性」「ナノ統計設計」などの段階を踏んで行う。「まずはナノサイエンスにテーマを絞り、グリッドがどこまでこのような研究開発に有効なのかを実証する」(三浦氏)のが、今回のプロジェクトの目的となる。

(編集局 谷古宇浩司)

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国立情報学研究所

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