IP電話の未知なる危険とは
2003/7/10
社内通信コストを削減するソリューションとして注目を集めるIP電話。IP電話は当初、通信品質を問題視する声もあったが現在ではほとんど聞かれない。しかし、NTTコムウェアは「まだ市場が気づいていない、大きな落とし穴がある」と指摘する。同社NEXIPT事業部ビジネス企画部の宮越勝氏は、「IP電話サービスの潜在的危険は、固定電話(PSTN)に比べて、悪意の攻撃が容易ということ。IP電話サービスは危険が高い」と語った。
NTTコムウェア NEXIPT事業部ビジネス企画部の宮越勝氏 |
IP電話サービスへの攻撃として宮越氏が挙げたのは、チケット予約やワン切りで通話が集中するサービス系の攻撃と、SIPなどの大量のVoIPプロトコルメッセージを送りつける「シグナリングプロトコル攻撃」、ICMPやUDPなどの標準プロトコルを悪用し、サーバに過負荷をかけたり、ネットワークリソースを占有するDoS攻撃だ。これらの攻撃を受けると最悪の場合、ネットワーク機器が破壊されてしまうこともあるという。
危険を回避するためのトラフィック制御の仕組みはどうなっているのか。NTTコムウェアでは、トラフィックからSIPの信号をエージェントが取り出して、集計サーバで輻そうを検出、設定値の規制量を超えたら、その分の呼び出しを「話し中」にし、制御する技術を開発した。話し中にすることで、ネットワーク機器を保護する。例えば、10回線しか受け付けられないネットワークで100回線分の通話がある場合、NTTコムウェアの技術を導入していない場合は、ネットワーク機器がダウンしてしまい10回線分も通話させることができなくなってしまう。しかし、NTTコムウェアの技術を導入していると、100回線のうち、10回線だけは確実に通話させることができる。NTTコムウェアは、この技術をIP電話に応用し、「IPトラフィック制御システム」(IP-TOS)を開発した。
技術開発を担当した同社システム本部第四システム部スペシャリストの可児敬氏は、「通話が集中しがちな災害時の緊急通報の確保にも利用できる。システムは、電話の輻そうトラブルを熟知しているわれわれだからこそ半年間で開発できた」と述べた。IPトラフィック制御システムは、7月に販売を開始。すでに大手キャリア数社で導入済みだという。
NTTコムウェアはもともとNTTの交換機(PBX)のネットワークオペレーションの開発運営を担当していた部門が分社化し、生まれた企業。電話のトラフィック制御とトラブルについてのノウハウをIP電話分野でも生かしている。
(編集局 富嶋典子)
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