動き出すサンの「N1」、第1弾はブレード仮想化ソフト

2003/7/25

サン・マイクロシステムズのプロダクト・マーケティング本部 本部長 山本恭典氏。「N1は顧客からの声をベースに開発している」と“サンの変化”を強調した

 サン・マイクロシステムズは同社のブレードサーバ「Sun Fire B100s」のコンピューティング・リソースを仮想化することで管理を容易にし、リソース使用率を平均化するソフト「N1 Provisioning Server 3.0 Blades Edition」の出荷を開始したと発表した。N1 Provisioning Serverはサンが提唱する次世代データセンター構想である「N1」を実現するソフトの第1弾。サン・マイクロシステムズのプロダクト・マーケティング本部 本部長 山本恭典氏は、「企業システムは複雑さを増しながら拡張性、性能を強化しているのが現状だ。N1は管理の複雑さを増すことなく、拡張性、性能を向上させることができる」と特徴を説明した。

 N1 Provisioning Server 3.0 Blades Editionは、サンが考えるN1の3段階のロードマップの中で、第1段階のインフラ仮想化と第2段階のサービス・プロビジョニングに対応する製品。複数のプロセッサからなるブレードサーバを単一のシステムとして、1つのコンソールで管理できる。物理的なサーバの構成にとらわれることなく、アプリケーションやサービスに必要なコンピューティング・リソースを割り当てる機能がある。これまではブレードサーバのコンポーネントをそれぞれ操作して、リソースを割り当てる必要があり、手間がかかっていた。プロセッサだけでなく、ブレードサーバに接続されたネットワーク機器やストレージも単一コンソールで管理可能となっている。

 N1 Provisioning Serverには、追加したブレードサーバに対してSolarisのOSイメージをインストールする機能もある。複数のブレードサーバを追加した場合、手作業でインストール作業を行うと膨大な時間がかかる。N1 Provisioning Serverを使うことで時間を短縮し、同じOS環境を簡単に作成できる。リソースの割り当てやソフトイメージのインストール、フェイル・オーバー機能の設定は、Webブラウザベースの管理コンソールで行う。

 N1 Provisioning Serverは、サンが昨年11月に買収した米Terraspringの技術を基を開発。標準価格は58万8000円。

 N1は、さまざまなベンダの製品が混在するヘテロジニアス環境の複雑性を解消することが特徴。だが、N1 Provisioning Serverが現状でサポートするのは、サンのブレードサーバのみ。山本氏はサポートが自社製品に限られる点について、「マルチベンダ環境でも利用できるが、ヘテロジニアス環境で実際に運用するにはノウハウやデバイスのサポート、カスタマイズが必要になる」と説明。「今回はブレードサーバの閉じた世界でN1を経験してもらうのが目的。N1を進化させるための最初のステップ、エントリー版だ」と述べた。

 山本氏によると、ヘテロジニアス環境でサーバのリソースを仮想化するN1 Provisioning Server 3.0 Blades Editionのエンタープライズ版は、年内にも出荷される見通し。サンは、ハードベンダやソフトベンダにSDKを配布してサポートを呼びかけたり、東京・用賀本社に設けた施設「iForce Ready Center」でN1 Provisioning Serverの検証実験をパートナーと共同で行い、N1実現への環境整備を行う。

(垣内郁栄)

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サン・マイクロシステムズの発表資料

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