「初めてWS-I準拠した」、WebSphereの最新バージョン

2003/8/21

日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 WebSphere事業部長 山下晶夫氏

 日本IBMは、WebSphereファミリ製品の最新版、「WebSphere Application Server V5.0.2」(以下WAS5.0.2)と「WebSphere Studio V5.1」(以下Studio5.1)を発表した。両製品ともWebサービスへの対応を強化するとともに、同社の提唱する「Grid & Autonomic」へ向けた取り組みやビジネス・インテグレーション機能強化を打ち出した。

 WAS5.0.2はマイナーバージョンアップながら、4つのWebサービス仕様、WS-I Base Profile 1.0、Web Services for J2EE(JSR109)、JAX-RPC(JSR101)、WS-SecurityCoreをサポートすることで「2000年にスタートしたWebサービスが、“つながる”だけの状況からようやく“使える”段階に到達した」(同社ソフトウェア事業 WebSphere事業部長 山下晶夫氏)とし、Webサービスにフォーカスした戦略を鮮明にした。

 WS-I(Web Services Interoperability)とは、異なるベンダ製品で作成されたWebサービス・アプリケーションやプラットフォーム間の相互接続性を向上させるための仕様で、WAS5.0.2はWS-Iに準拠した初の商用サーバとなる。製品デモでは、WAS5.0.2側で作成したWebサービスのWSDLをVisualStudio .Netに取り込んで、クライアント・アプリケーションを作成する過程が紹介された。従来であれば異なるベンダ製品で作成したWebサービス・アプリケーションの互換性を保つためには、高いスキルを要求されたが、WS-I準拠により開発環境に制約を受けずにすむ。

 Studio5.1は、WAS5.0.2のWebサービス対応を開発ツールレベルで支援する。今回のバージョンからWS-I、JSR109などの標準仕様を自動的に検証する機能が組み込まれ、標準仕様に準拠した可搬性の高いWebサービス・アプリケーションの開発が容易になるという。また、UMLクラス図のフォワード/リバースエンジニアリングが可能になり、ビジュアルな開発環境も実現された。ただし、Rational製品との棲み分けもあって、Studio5.1で対応するのはクラス図のみ。「本格的なオブジェクト指向開発にはRational製品を使ってほしい」(同社ソフトウェア事業 WebSphere技術部長 早川 ゆき氏)。

 Webサービス以外では、WAS5.0.2は「Grid&Autonomic」の実現に向け、クラスタ内のサーバ負荷を動的に分散させる「動的ワークロード管理」「バックアップ・クラスタ機能」「パフォーマンス・モニタリング機能」も提供する。

 製品価格は1年間の保守料金を含んで、WAS5.0.2は135万円、WebSphere Studio Application Developer V5.1は62万円、エントリ製品のWebSphere Studio Site Developer V5.1は14万3,000円。また「WebSphere V5.0移行支援サービス」として、旧版製品からの移行を希望する顧客に、Studio5.1を使った技術支援も行う。対象となる製品はWebSphere V3.0/V3.5およびBEA WebLogic Server V5.1/V6.1となっている。

(編集局 上島康夫)

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