日本の技術が握るバッテリ寿命の未来

2003/9/4

インテル キャピタル ジャパン 代表のショーン・タン氏

 インテル キャピタル ジャパンは9月3日、電池技術開発のパイオニクスに出資したと発表した。初期投資総額は今回の投資計画に参加したジャフコ関西支社の投資分と合わせて210万ドル。インテル コーポレーションとパイオニクスは技術協力契約も締結した。

 パイオニクスはリチウム電池技術の開発を行う滋賀県のベンチャー企業。同社では今回の調達資金を元に、ノートPCやPDAなどのモバイル機器で利用するための新たな電池技術の開発を加速させる。2年以内の商用化を目指す。

 インテル キャピタルのこれまでの投資による時価総額は約8億ドル。世界475社以上の投資実績を持つ。インテル キャピタル ジャパン 代表のショーン・タン(Shiong Tan)氏によると、最近の投資の傾向として「米国外での投資が増加傾向にある」という。1998年の時点では投資総額の96%が米国企業に対するものだったが、2002年では60%以上が米国外企業への投資である。

 日本国内での投資戦略は、インテルのビジネスに貢献する技術系企業への投資という明確なビジョンに基づいて行われる。技術分野は、半導体、電源・放熱関連技術、家電、デジタル・ホーム戦略に貢献する技術など。そのほか、有線および無線機器の利用を促進するブロードバンド関連エコシステムへの投資(FTTHや3G、802.11x、ワイヤレス関連技術)も含まれる。

 今回の投資案件は、主にモバイルPCの電池持続時間の継続を可能にする技術の商用化に焦点を当てたもの。タン氏は「プラットフォームの省電力化の技術は日に日に進歩しているが、電池持続時間の長時間化に対するユーザーのニーズはその速度を上回っている」と話す。次世代のモバイル機器において、長時間の電池持続を実現するには、高エネルギー密度の電池が必要で、パイオニクスでは現行のリチウム・バッテリと比較して最低2倍のエネルギー密度を実現できる電池の開発を行う、ことをインテル キャピタルとの投資条件としている。

(編集局 谷古宇浩司)

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