サンが始める“IT業界改善運動”
2003/9/9
サン・マイクロシステムズは今年2月に発表したソフト統合戦略「Project Orion」に基づき、同社のミドルウェアを原則的に四半期ごとにアップデートさせる新たなリリースサイクルを近く導入する考えを示した。アップデートやバージョンアップのタイミングを各ミドルウェアで統一することで、ユーザー企業やシステム・インテグレータ(SI)はシステム更新の計画が立てやすくなり、バージョン管理やテストのコストを減らすことができるという。
サン・マイクロシステムズのプロダクト・マーケティング本部 ソフトウェア製品事業部長 増月孝信氏 |
サン・マイクロシステムズのプロダクト・マーケティング本部 ソフトウェア製品事業部長 増月孝信氏によると、Project Orionが考え出されたきっかけは「ミドルウェアでSolarisと同じ程度の可用性を保証してほしい」というユーザーからの声。Solarisは四半期ごとのアップデートが行われているが、ミドルウェアは開発チームごとにばらばらで、バージョン管理が困難だった。また、Solarisと各ミドルウェアでは社内でも開発体制や手法に違いがあり、必ずしも同じ程度の品質を達成しているとはいえなかった。
サンがこの問題に示した解決策は、ばらばらのソフトを統合することと、ソフトのロードマップをシンプルにすること、ソフトの価格体制をシンプルにすることの3点。特にロードマップをシンプルにし、四半期ごとにバージョンアップすると約束することで、開発チームは明確なゴールが見えるようになる。サンとしては、エンジニアの評価に結びつくゴールを設定することで、エンジニアのモチベーションが向上し、製品品質が向上することも狙っている。
サンはまた、Project Orionで示された問題の解決策のうち、ソフト統合についても計画がある。ソフト統合では、想定される各ミドルウェアの利用に合わせてソリューションをあらかじめ検証し、ベストプラクティスを決定。SIやエンドユーザーが詳細なテストをしなくても、ミドルウェアを導入しやすいようにする。価格体系についてもCPUライセンスやユーザーライセンスなど、将来の需要が予測できない価格体系でなく、「まったく新しい単一の価格体系」(増月氏)を導入するという。ソフトの利用時間に合わせて課金する従量制のライセンス体系を検討していると見られる。
増月氏はProject Orionを「サンだけでなく、IT業界すべてのソフトに対する改善活動」と説明した。「ソフトのコンセプトを根底から変えて、すべて新しい考え方に定義し直す試みだ」と述べた。
(垣内郁栄)
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