gooがGoogle採用、「だが国産検索エンジンは消滅しない」

2003/10/3

 インターネットポータルサイト「goo」を運営するNTT-Xは、Web検索サイト「Google」を提供する米グーグルと業務提携すると発表した。提携内容は、gooの検索エンジンをGoogleに置き換えること、Googleの検索キーワード連動型広告「アドワーズ」をgooに採用することの2点で、12月1日からサービスを開始する。

NTT-X 代表取締役社長 中嶋孝夫氏(左)、米グーグルの業務開発/営業担当副社長 オミッド・コーデスタニ氏

 gooの持つ検索エンジンは今後、辞書や地図検索サービスなどに残されるが、キーワード検索ではGoogleの検索エンジンに1本化される。この背景について、NTT-X 代表取締役社長 中嶋孝夫氏は「インターネットポータル事業の重要性は、NTTグループの中でも非常に高まっているが、同時にヤフー・ジャパンなど他社との競合も激しくなっている。検索サービスを向上させるために、世界最高の技術を持つGoogleとの提携を選択した」と語った。しかし中嶋氏は、「NTT研究所が開発したgooの国産検索エンジンは消滅しない。gooで培ってきたノウハウは、検索サービスのフロントエンジンとして利用し、さらに研究開発を進めて発展させていく」と国産技術の継続を強調した。

 gooが提供するキーワード検索は、フロントエンジンとバックエンジンの2層構造になる。バックエンジンはGoogleの技術資源を全面採用する。ただし、日本語を使ったキーワード検索には言語特性に起因するさまざまな問題点が存在するため、フロント側にgooの独自エンジンを搭載し、ユーザービリティを向上させるという。ユーザーの送出したキーワードは、gooフロントエンジンでいったん処理された後にGoogle検索エンジンに渡され、ヒットしたWebページ情報は再度gooフロントエンジンでフィルタリングされてユーザーに表示される。

 フロントエンジンが提供するのは「日本語処理技術」と「アダルトコンテンツのフィルタリング」だ。gooの調査によれば、キーワード検索の12%が日本語固有の何らかの問題に遭遇しているという。例えば「ルイヴィトン」ではオフィシャルサイトが表示されるが「ルイビトン」ではヒットしないといった表記のゆれ、送り仮名の有無、くじら/クジラ/鯨といった表記の多様性、略語など、入力する言葉のあいまいさに従来の検索エンジンでは対応しきれていないとし、「キーワード検索サービスは、まだまだ未熟な技術だ。ユーザーの満足度は40〜50%くらいだろう。日本人にとって最高の検索サービスを実現するためには、さらに研究開発を進める必要がある」と、中嶋氏は独自技術にこだわる姿勢を示した。

 日本語表記のゆれの補正機能、アダルトコンテンツのフィルタリングについては、マニュアルモードで有効/無効の選択が可能になる予定。会見に出席した米グーグルの業務開発/営業担当副社長 オミッド・コーデスタニ(Omid Kordestani)氏は、「両社は対等な関係で技術開発に取り組み、より質の高い検索サービスと広告事業を構築する」と友好な関係をアピールした。

(編集局 上島康夫)

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