巨大ルータがワンラックサイズになります

2003/10/3

三菱電機の先端技術総合研究所 電機システム技術部 高周波電磁界グループマネージャー 田邉信二氏。手にしているのが新開発のコネクタ部分

 三菱電機は光ネットワーク中継器やルータ内部のボード間のデータ通信速度で、従来の10倍に当たる10Gbpsを出すことに成功したと発表した。ボード間のデータ通信速度を上げることで、製品に必要な部品を減らすことができ、コスト削減や省スペースにつなげられるという。三菱電機の先端技術総合研究所 電機システム技術部 高周波電磁界グループマネージャー 田邉信二氏は、「10Gbpsの伝送中継器を使うことで2メートルを超える大容量のルータをワンラックサイズに小型化することができる」と述べ、新技術をアピールした。

 光ファイバを使ったネットワークでは、公衆部分は10Gbpsなど高速に通信されていても企業などに置かれたルータを通過する際に変換器を使って電気信号に変換し、低速にしている。この低速な信号を複数のチャネルで伝送するためルータ内の部品数が多くなるという。しかし、今回三菱電機が開発した技術を使えば、通信速度を落とすことなくルータ内部のボード間を10Gbpsで通信させることが可能。信号を複数チャネルに分ける必要がないため部品数を少なくすることができる。

 ボード間の通信速度を向上させるために三菱電機が開発したのは、ボードに取り付けるコネクタ。米FCI USAと共同開発した技術で、ボードにピンを差し込んで使う従来のコネクタを、ハンダのボールをボードに接触させて信号を読み取る「BGAコネクタ」に変更した。また、新しいボード構造を導入し、信号が通らない金属部分を除去し、通信エラーなどが発生しないようにした。

 三菱電機は今回開発した技術をネットワーク中継器や携帯電話基地局装置に応用する考え。田邉氏は「今回は実証実験で成功しただけ。実際のルータでは何百チャネルもあり、ノイズや干渉もある。今後は実運用環境で今回の性能を出すことができるかが課題だ」と述べた。

(垣内郁栄)

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