Tivoliを目指すというOracle 10g、その意図は?
2003/10/16
日本オラクルのマーケティング本部 システム製品マーケティンググループ シニアマネージャ 杉崎正之氏は同社が開いた「Oracle 10g」のテクニカルブリーフィングで、「Oracle 10gが目指すのはIBM Tivoliの世界」と述べ、管理ツールの「Oracle Enterprise Manager 10g」で他社のソフト、ハードも管理できるようにする考えを示した。他社製のソフト、ハードをOracle 10gで統合管理することで、システム管理者の負担を減らし、運用管理コストの低減につながるとアピールした。
日本オラクルのマーケティング本部 システム製品マーケティンググループ シニアマネージャ 杉崎正之氏 |
杉崎氏によると、オラクルはOracle Enterprise Manager 10gのAPIを公開。管理対象のソフト、ハードをこのAPIに対応させると、Oracle Enterprise Manager 10gで管理できるようになる。杉崎氏はこの仕組みを「プラグイン方式」を呼び、「オラクルは方針を転換する」と述べた。
Oracle 10gは2004年1月29日に出荷する予定。データベースの「Oracle Database 10g」、アプリケーションサーバの「Oracle Application Server 10g」、Oracle Enterprise Manager 10gで構成され、強力な管理機能が特徴の1つとなっている。Oracle Database 10gではパッチ適用やSQLチューニング、バックアップ/リカバリ、ストレージ管理などを自動化し、データベース管理者の負荷を減らす。現行のデータベース「Oracle9i」ではデータベース管理者がデータベースを常に監視し、最適な設定になるよう調整する必要があるが、Oracle 10gは「いわゆる人工知能が入っているようなもの」(杉崎氏)で、Oracle 10g自身がデータベースの状況を監視する。データベースに問題がある場合だけ、Oracle 10gがデータベース管理者にアラートを発し、最適な設定をアドバイスするという。
杉崎氏はOracle 10gの管理機能について、「グリッド・コンピューティングの手前にあるのはオートマチックの必要性」と指摘。「米オラクルの開発者の半分は管理機能に割り当てられている」として「大規模システムだけでなく、小規模のシングルサーバ、SMPマシンでも運用管理コストを2分の1にするのが、Oracle 10gのビジョンだ」と述べた。
オラクルはOracle 10gの出荷で、マイクロソフトの「SQL Server」が得意とする中小規模システムの開拓を目指す。中小規模システムの中でも力を入れるのがWindowsプラットフォーム。オラクルは、Oracle9iまではUNIX版を先に開発し、それをポーティングし、Windows版を完成させていた。しかし、Oracle 10gはWindowsのネイティブ環境で開発。Windowsに固有のAPIなどを使ったため、「非常に高速になった。Oracle9iと比較して最大で10倍といわれている」(杉崎氏)といい、Windows環境でのパフォーマンスの高さをアピールした。
Oracle 10gではアプリケーション開発も容易になる。Webベースでデータベース・アプリケーションが開発できるツール「HTML DB」をOracle Database 10gに付属させる。マイクロソフトの「Microsoft Access」と同じくらいの簡単さで、Web対応のデータベース・アプリケーションを開発できることが売りのツールで、杉崎氏は「Excelファイルをドラッグするだけでデータベースのスキーマができてしまう機能がある」と説明した。オラクルは、Oracle8から簡単にバージョンアップできるツールもOracle 10gに付ける予定で、杉崎氏は「Oracle 10gは中小規模システムに特化している」と強調した。
(垣内郁栄)
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