自社開発は10機種だけに、NECが通信機器で新方針

2003/10/31

 NECは、自社で開発しているネットワーク機器を今後3〜4年で10機種に絞り込む方針を、10月30日に発表した同社の中期成長戦略で明らかにした。自社開発のネットワーク機器は、今後の拡大が見込める広域イーサネットとIPテレフォニー関連に限定することで、収益の改善とソリューション拡充を狙う。

NEC 代表取締役社長 金杉明信氏

 NECは企業、サービスプロバイダ、通信キャリア向けにルータやスイッチなど27種の製品を自社開発している。中期成長戦略ではこのうち、広域イーサネットとIPテレフォニー関連の高機能製品に開発を絞り込み、他社のOEM製品を組み合わせて、ソリューション・サービスを形成する。

 広域イーサネット関連では高機能WDMやSDH、広域イーサネット対応スイッチ、アクセスルータなどに注力する。IPテレフォニー関連では公衆サービス、IPセントレックス、IP-PBX、SIPサーバなどの製品を自社開発する。光ファイバやADSLなどに対応した高機能スイッチについても自社開発を続ける。具体的には、マルチレイヤスイッチのCXシリーズやIXシリーズ、広域イーサネット対応のCXシリーズ、IPテレフォニーのSVシリーズなどを自社開発する。製品開発のプラットフォームを共通化することで、30%の開発効率の改善を目指す。

 一方で、ミドルレンジ向けの汎用WDMやルータ、スイッチ、VPN機器などは他社のOEM製品を調達する。自社開発製品と他社製品を柔軟に組み合わせることで高付加価値のサービスが開発でき、「逆にソリューションの提供力は強化できる」(NEC)とみている。

 NEC 代表取締役社長 金杉明信氏は、「レガシー・プロダクト主体のビジネスからソフト・サービスの付加価値に立脚したソリューション事業に転換する」として、広域イーサネット、IPテレフォニー、ネットワーク・アウトソーシングの各分野で、年率20%の出荷成長を目指す考えを示した。NEC全体では今後3〜4年で営業利益率を7%、ROE(自己資本利益率)を15%にするのが目標だ。

 NECはサーバ製品については今後、ブレードサーバを中心に開発を注力することを明らかにした。また、VoIP機能を備えた「iExpress5800」も開発を強化。ストレージ製品の「iStorage」も引き続き開発を続ける。ミドルウェアではVALUMOのグリッド・コンピューティング対応機能を強化する。企業ネットワークの音声とデータを統合し管理できるようなミドルウェアも開発する方針。無線LANやセキュリティ、モバイルなど成長市場についてもソフト開発を続ける。

 NECはハードベンダからサービスを提案するシステム・インテグレータ(SI)への脱却を急いでいる。10万社に及ぶ既存顧客に対するコンサルタントやアウトソーシング、サポートサービスを強化。システム開発はプロセスの標準化とJavaコンポーネントの流動化、中国を中心としたオフショア開発の拡大で、開発コストの30%削減を目指す。SI/サービス事業では、出荷成長率を5%以上にするのが目標。営業利益率も10%以上を狙う。アウトソーシング事業の売り上げは2003年3月期の1000億円から、3年〜4年で1.5倍の1500億円まで拡大させる。

(編集局 垣内郁栄)

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