ヘテロな全米テニスを自動化したTivoli

2003/11/5

 日本IBMは企業情報システムのキャパシティ管理とサービスレベル管理、必要なリソース配分をそれぞれ自動化するTivoliブランドの新ソフト「IBM Tivoli Intelligent ThinkDynamic Orchestrator」(Tivoli Orchestrator)を出荷開始したと発表した。日本IBMの常務執行役員 ソフトウェア事業担当 堀田一芙氏はTivoli Orchestratorについて、「あらゆるミドルウェアから独立した製品」と説明し、IBM製品以外で構成された異機種混在環境でもオートノミック・コンピューティングが実現できることを強調した。

日本IBMの常務執行役員 ソフトウェア事業担当 堀田一芙氏

 Tivoli Orchestratorは企業情報システムで従来は手作業で行ってきたシステムのキャパシティ管理とサービスレベル管理、プロビジョニングの各作業を、あらかじめ設定したポリシーによって自動化する。それぞれの手作業を人が行うことで時間、コストがかかるだけでなく、人的ミスが発生する可能性があったが、Tivoli Orchestratorを使えば全リソースの配備を1人でできるという。

 具体的にはTivoli Orchestratorは、サーバやストレージ、ネットワークの応答時間やプロセッサの利用率、ログなどを常時監視し、Eコマースなど提供しているサービスに遅延や障害が起きていないかをチェックする。問題がある場合は、Tivoli Orchestratorに含まれる「IBM Tivoli Provisioning Manager」が仮想化したリソースを自動的に変更し、必要なサービスに配分する。IBM Tivoli Provisioning Managerは単体製品としても提供される。

 Tivoli Orchestratorの1CPUのライセンス料金は50万5600円から。Windows 2000 Server、AIX 5.2(64ビット)、Red Hat Linux Advanced Server2.1で稼働する。

 Tivoli Orchestratorは今年の全米オープン・テニスの公式Webサイトの運用で利用された。IBMのサーバのほかに他社のサーバやストレージを使って、異機種混在環境での利用を検証した。Webサイトへのアクセスのピークにあわせて、異なる業務で利用しているサーバのリソースをWebサーバに配分し、応答時間の低下などを防いだという。

 IBMのソフトウェア事業 Tivoli事業部長 石原明氏は、同社のオートノミック戦略について、「IBM製品のおのおのの分野ではTivoli製品を使った自動化が進んでいた」と説明。Tivoli Orchestratorの発表で「ITシステム全体の自動化が可能になった」とし、「一歩進んだ自動化を目指すことができる」と強調した。堀田氏はTivoli Orchestratorについて「Rational製品に近い製品」と指摘し、異機種混在環境での自動化プラットフォームとして利用する考えを示した。

(編集局 垣内郁栄)

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日本IBMの発表資料

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