[Borland Conference 2003開幕]
バックエンドJava+フロントエンド.NETが次世代の開発スタイル?
2003/11/6
Javaが登場して8年ほどが経過した。現在その主な活動場所をサーバサイドに定め、バックエンドで動作するエンタープライズJavaとしての市民権を獲得している。今後はさらに、.NETが徐々にフロントエンドの分野に浸透し、バックエンドJava+フロントエンド.NETというのが次世代の企業システムの中核となるかもしれない。
■鮮明になるJava+.NET戦略
米ボーランドが主催する開発者向けカンファレンス「Borland Conference 2003」が、米カリフォルニア州サンノゼで11月2〜5日の4日間にわたり開催されている。実質的な第2日目にあたる11月4日には、同社のJava+.NETのエンタープライズ戦略に関する説明が行われた。
今回の説明により、C#BuilderやDelphi8などの.NET向けフロントエンド開発ツールのほか、エンタープライズ色を強めつつあるJava開発ツールの最新版であるJBuilderX、そしてバックエンドJava+フロントエンド.NETの仲介役となるJaneva(ジェネバ)のそれぞれの役割が明確化された。JBuilderの10個目のバージョンにあたるJBuilderXは10月21日に発表されたばかりで、テストツールのOptimizeitやモデリングツールのTogetherなどとの組み合わせで、より効率的なJ2EE開発を行えるツールとしての役割を強めつつある。C#BuilderとJanevaも今年夏に発表されたばかりで、同社の.NET戦略における主要な役割を果たすものだ。C#Builderは簡易な.NETフロントアプリケーションを開発するツールであり、一方のJanevaは.NETクライアントをバックエンドのJ2EEオブジェクトに接続するためのミドルウェア的な役割を果たす。
同社が.NETへの傾注を強めつつあるなか、Janevaの重要性がよりクローズアップされつつある。JanevaはORBプロトコルであるIIOPを使って、.NET FrameworkベースのクライアントからEJBやCORBAなどへの接続機能を提供するものだ。Janevaを使うことで、簡単なプログラミングでよりリッチな環境を構築できるASP.NETや各種.NETアプリケーションにクライアント側の処理を任せ、エンタープライズ開発環境としての実績を積みつつあるJavaをバックエンド側にまわすという、同社の基本スタンスが伝わってくる。
一見、両面戦略にも見える同社のJava+.NETへの取り組みだが、クライアント処理に向いているのはJavaより.NETという、より現実的な視点から製品戦略を進めていることが分かる。逆にいえば、エンタープライズ.NETよりもクライアント.NETのほうが現実的だということを示しているにほかならない。
■Windowsアプリケーションから.NETアプリケーションへ
Longhorn世代のWindows内部機構 |
前述の発表の前日にあたる11月3日に、米マイクロソフトの.NET開発プラットフォームチームのゼネラルマネージャであるDavid Treadwell氏が登壇し、.NET開発によるメリットの数々を説明している。Webサービスなどの最新機能のほか、Managed Codeによるセキュアで厳密なメモリ管理の行われた環境が、プログラマの負荷を減らしつつユーザーにリッチなコンテンツを提供可能になるという。また、PCのようなファット・クライアントからだけでなく、情報端末などの.NETをサポートしたスマート・クライアントの存在によって、より適材適所に情報アクセス環境を提供できるとする。
この説明の中で、今後数年間で起こる開発環境周辺の変化についての言及があった。すでに10月末に米カリフォルニア州ロサンゼルスで行われたマイクロソフトの開発者会議PDCでも説明が行われているが、SQL Serverの次バージョン「Yukon」(ユーコン)、Visual Studioの次バージョン「Whidbey」(ウィッドビィ)、Windowsの次バージョン「Longhorn」(ロングホーン)が紹介された。
特にキーとなるのがWhidbeyの存在で、Yukonのサポートのほか、次世代.NETの拡張機能を広範にサポートするものになるという。Whidbeyの開発目標は、同じプログラムでも記載すべきコードを50%以下に低減させるほか、より強力なパフォーマンスを提供できるものを目指しているという。デモンストレーションが行われたWhidbey版のASP.NETでは、プロパティのちょっとした変更だけで、表データの表示方式をよりグラフィカルにしたり、スクロール形式からページ切り替え式に、ソートなどの処理を簡単に行えることが確認できた。
また、Longhorn世代のWindowsで起こる、システムレベルの変更点も紹介された。Longhornでは、Fondamentalsという基本部分に、UIのAvalon、ファイルシステムのWinFS、通信制御を担うIndigo、そしてアプリケーション動作をつかさどるWinFXが上からかぶさることになる。WinFXは実質的にWin32などと同等の存在であり、アプリケーション開発のコアになるものと思われる。またAvalonではXAMLという記述言語がサポートされる予定だという。Windows専用の簡単なスクリプト言語のようだが、以前にあったWindows Scripting Hostの強化版と推測される。
(鈴木淳也)
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